術後16年目に発見された腎細胞癌小腸転移の1例

症例は73歳の男性で,2001年右腎細胞癌に対し右腎摘除術を施行した.術後化学療法実施中の2010年甲状腺転移に対し甲状腺部分切除,2012年右第6肋骨転移に対し切除術を施行した.2017年11月から黒色便,貧血の進行を認め,2018年1月にダブルバルーン小腸内視鏡検査で腎細胞癌小腸転移と診断され,同年2月に小腸部分切除を施行した.また,2011年に指摘されたが確診に至らなかった肺の小結節影が,2018年のCTで増大傾向を示す多発結節を形成していたため腎細胞癌肺転移と考えた.腎細胞癌小腸転移は比較的稀であるが,進行性の貧血を認め,消化管出血が疑われる場合は小腸転移も念頭に置いた精査をするべきで...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 1; pp. 108 - 114
Main Authors 森, 和彦, 小林, 隆, 南村, 圭亮, 森, 正也, 平田, 泰, 中居, 伴充, 河野, 義春
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.108

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Summary:症例は73歳の男性で,2001年右腎細胞癌に対し右腎摘除術を施行した.術後化学療法実施中の2010年甲状腺転移に対し甲状腺部分切除,2012年右第6肋骨転移に対し切除術を施行した.2017年11月から黒色便,貧血の進行を認め,2018年1月にダブルバルーン小腸内視鏡検査で腎細胞癌小腸転移と診断され,同年2月に小腸部分切除を施行した.また,2011年に指摘されたが確診に至らなかった肺の小結節影が,2018年のCTで増大傾向を示す多発結節を形成していたため腎細胞癌肺転移と考えた.腎細胞癌小腸転移は比較的稀であるが,進行性の貧血を認め,消化管出血が疑われる場合は小腸転移も念頭に置いた精査をするべきである.また,小腸転移に先行し肺転移を認めることが多く,肺転移を認めた場合は一定期間小腸転移に留意したフォローが必要と考える.そして,早期に小腸転移を発見し,積極的に外科的切除を行うことで生存期間を向上させる可能性が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.108