経皮経肝胆囊ドレナージが成因と考えられた胆囊仮性動脈瘤の1例

症例は81歳,男性.黄疸・意識障害を主訴に当院救急外来を受診し,腹部USで壁肥厚を伴う胆囊腫大と内部に11mm大の結石を認めた.CTでは複数の結石と腫大した胆囊周囲に脂肪織濃度上昇を認め,急性胆囊炎(Grade III)と診断しpercutaneous transhepatic gallbladder drainage(PTGBD)を施行した.PTGBD施行時に,胆囊内出血を認めたが翌日には自然止血した.胆囊炎軽快後の第22病日の腹部US・造影CTで,胆囊壁内腔側にPTGBDチューブ刺入部近傍の胆囊動脈深枝に隣接して15mm大の胆囊仮性動脈瘤の形成を認めた.血管外漏出所見はなく循環動態が安定し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 12; pp. 1913 - 1917
Main Authors 奥田, 善大, 近藤, 昭信, 市川, 健, 谷川, 智美, 留奥, 賢, 田中, 穣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.1913

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Summary:症例は81歳,男性.黄疸・意識障害を主訴に当院救急外来を受診し,腹部USで壁肥厚を伴う胆囊腫大と内部に11mm大の結石を認めた.CTでは複数の結石と腫大した胆囊周囲に脂肪織濃度上昇を認め,急性胆囊炎(Grade III)と診断しpercutaneous transhepatic gallbladder drainage(PTGBD)を施行した.PTGBD施行時に,胆囊内出血を認めたが翌日には自然止血した.胆囊炎軽快後の第22病日の腹部US・造影CTで,胆囊壁内腔側にPTGBDチューブ刺入部近傍の胆囊動脈深枝に隣接して15mm大の胆囊仮性動脈瘤の形成を認めた.血管外漏出所見はなく循環動態が安定しており,抗血小板剤を休薬後,待機的に腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.病理組織学的所見ではPTGBDチューブ刺入部の近傍に血腫と破綻した動脈壁を認めた.PTGBDチューブ留置による胆囊仮性動脈瘤は稀であるが,PTGBD後に貧血の進行や血性排液を認めれば本疾患を考慮すべきである.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1913