十二指腸狭窄を契機に診断された成人腸回転異常症の1例

症例は58歳女性で心窩部痛と嘔吐,意識障害で近医へ救急搬送され,精査加療目的に当院紹介となった。著明な脱水と腎機能障害を認めCT検査で十二指腸下行脚の狭窄と水平脚を形成せずに空腸に移行する腸回転異常を認めた。経鼻胃管挿入で腹部所見改善し,腸管虚血や壊死を疑う所見もなかったため保存的入院とした。翌日の内視鏡検査で十二指腸狭窄を認め肛門側への造影剤流出障害を認めた。スコープは狭窄部を通過したが狭窄部口側への造影剤の逆流はなかった。器質的狭窄と考え同日手術を施行した。十二指腸は水平脚を形成せずに下行し,その腹側に右側結腸が走行する腸回転異常を認めた。十二指腸は回腸末端部の腸間膜と癒着しており,狭窄お...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 38; no. 1; pp. 089 - 092
Main Authors 西村, 隆一, 川島, 到真, 山下, 洋, 小山田, 尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2018
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.089

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Summary:症例は58歳女性で心窩部痛と嘔吐,意識障害で近医へ救急搬送され,精査加療目的に当院紹介となった。著明な脱水と腎機能障害を認めCT検査で十二指腸下行脚の狭窄と水平脚を形成せずに空腸に移行する腸回転異常を認めた。経鼻胃管挿入で腹部所見改善し,腸管虚血や壊死を疑う所見もなかったため保存的入院とした。翌日の内視鏡検査で十二指腸狭窄を認め肛門側への造影剤流出障害を認めた。スコープは狭窄部を通過したが狭窄部口側への造影剤の逆流はなかった。器質的狭窄と考え同日手術を施行した。十二指腸は水平脚を形成せずに下行し,その腹側に右側結腸が走行する腸回転異常を認めた。十二指腸は回腸末端部の腸間膜と癒着しており,狭窄および緩やかな捻転を呈していた。癒着剝離し狭窄を解除し,腸管固定は行わなかった。術後経過良好で第6病日に退院した。まれではあるが手術既往のない十二指腸狭窄の原因として本症例も念頭に置く必要があると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.089