真性腸石を伴うMeckel憩室穿孔の1例

29歳の男性が下腹部痛を主訴に当院を受診した。来院時のCTでは,内部に石灰化を伴い回腸と連続性のある3cm大の囊胞性病変と,その周囲にfree airを認めた。腸石によるMeckel憩室の穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。回腸末端から約50cmの腸間膜側にMeckel憩室を認め,その頂部が穿孔していた。基部の炎症は軽度であり,かつ憩室が長く基部が細かったため憩室切除を施行した。摘出標本では,憩室基部に腸石を認め,憩室頂部の一部が穿孔していた。腸石の憩室基部への嵌頓により,憩室内圧が上昇して穿孔したと判断した。腸石はシュウ酸カルシウムからなる真性腸石であり,憩室内に異所性粘膜は認めなかった。術...

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Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 38; no. 1; pp. 071 - 074
Main Authors 松本, 直基, 好中, 久晶, 佐藤, 太一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2018
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.071

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Summary:29歳の男性が下腹部痛を主訴に当院を受診した。来院時のCTでは,内部に石灰化を伴い回腸と連続性のある3cm大の囊胞性病変と,その周囲にfree airを認めた。腸石によるMeckel憩室の穿孔と診断し,緊急開腹術を施行した。回腸末端から約50cmの腸間膜側にMeckel憩室を認め,その頂部が穿孔していた。基部の炎症は軽度であり,かつ憩室が長く基部が細かったため憩室切除を施行した。摘出標本では,憩室基部に腸石を認め,憩室頂部の一部が穿孔していた。腸石の憩室基部への嵌頓により,憩室内圧が上昇して穿孔したと判断した。腸石はシュウ酸カルシウムからなる真性腸石であり,憩室内に異所性粘膜は認めなかった。術後創感染を合併したが術後10日目で退院した。今回われわれは,比較的まれな真性腸石によるMeckel憩室穿孔の1例を経験した。術式の選択は,憩室の形状や炎症の範囲を十分考慮し,慎重に判断されるべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.071