A-17. 当院での慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する経皮的肺動脈バルーン拡張術

背景:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は, 徐々に肺高血圧が進行する予後不良な疾患であるが, 肺動脈血栓内膜摘除術にて根治できる可能性がある. しかし, 手術適応から外れる末梢型CTEPHや術後残存肺高血圧に対しては内科的に治療せざるを得ない. 近年, 本邦から経皮的肺動脈バルーン形成術(Balloon Pulmonary Angioplasty:BPA)の有効性が報告され大いに注目を集めている. 目的・方法:当院でCTEPHと診断した26例のうち, 2009年3月から2013年8月現在までにBP...

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Published inShinzo Vol. 46; no. 7; p. 991
Main Authors 松田, 明正, 荻原, 義人, 山田, 典一, 伊藤, 正明, 石倉, 健, 中村, 真潮, 太田, 覚史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2014
日本心臓財団・日本循環器学会
Japan Heart Foundation
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.46.991

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Summary:背景:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic thromboembolic pulmonary hypertension:CTEPH)は, 徐々に肺高血圧が進行する予後不良な疾患であるが, 肺動脈血栓内膜摘除術にて根治できる可能性がある. しかし, 手術適応から外れる末梢型CTEPHや術後残存肺高血圧に対しては内科的に治療せざるを得ない. 近年, 本邦から経皮的肺動脈バルーン形成術(Balloon Pulmonary Angioplasty:BPA)の有効性が報告され大いに注目を集めている. 目的・方法:当院でCTEPHと診断した26例のうち, 2009年3月から2013年8月現在までにBPAを施行した11例(平均年齢67.3±9.8歳, 女性10例)について, その治療効果や手技に関して後向きに検討を行った. 結果:当院ではCTEPHが強く疑われる症例でも, BPA施行前に半年間以上の抗凝固療法を施行している. 11例の内訳は, 肺血管拡張薬による薬物治療を行った後にBPAを施行した症例6例, 抗凝固療法後にBPAを施行した症例5例であった. これまでに計20セッション施行しており(平均セッション数1.89回), 全例右内頸静脈からアプローチしている. これまでにガイドワイヤーによる肺動脈穿孔を1例, BPA2日後に少量血痰を1例で認めたが, ともに血行動態への影響は認めず, 気管挿管を要するような肺水腫や大量喀血などは1例も認めていない. 治療効果としては, 平均Follow up期間20.0±22.0カ月で, 平均肺動脈圧(mmHg)は39.0±11.1から28.3±8.8, 肺血管抵抗(dynes・sec・cm-5)は645.4±464.5から436.4±280.3とそれぞれ有意差をもって改善(p<0.05), 全例で自覚症状の改善も認めた. 6分間歩行距離(m)は363.3±131.8から453.0±98.8と有意差をもって増加(p<0.05), 肺における血液酸素化能を表すA-aDO2(mmHg)も57.4±19.8から42.6±15.5と有意差をもって改善を認めた(p<0.05). 結語:手術適応から外れるCTEPH症例に対して, BPAは非常に有効である. しかし, BPA手技に関しては, まだまだ検討の余地があり, 今後の症例の蓄積による指針作成が望まれる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.991