虚血性視神経症,視神経炎のOCT Angiography
前部虚血性視神経症(anterior ischemic optic neuropathy:AION)と視神経炎(optic neuritis:ON)は急性,片眼性視神経症の代表的疾患である.病態は大きく異なるものの両疾患には共通点も多く,診断に難渋する場合も多い.Optical coherence tomography angiography(OCTA)は低侵襲,短時間に層別血管密度を評価できる機器である.今回,両疾患の急性期,慢性期におけるOCTAの報告をまとめ,自験例もふまえ検討した.急性期AIONでは乳頭血管,乳頭周囲浅層血管密度の量的評価は乳頭腫脹のため変動はあるものの乳頭周囲浅層血管...
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| Published in | 神経眼科 Vol. 37; no. 1; pp. 9 - 15 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本神経眼科学会
25.03.2020
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0289-7024 2188-2002 |
| DOI | 10.11476/shinkeiganka.37.9 |
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| Summary: | 前部虚血性視神経症(anterior ischemic optic neuropathy:AION)と視神経炎(optic neuritis:ON)は急性,片眼性視神経症の代表的疾患である.病態は大きく異なるものの両疾患には共通点も多く,診断に難渋する場合も多い.Optical coherence tomography angiography(OCTA)は低侵襲,短時間に層別血管密度を評価できる機器である.今回,両疾患の急性期,慢性期におけるOCTAの報告をまとめ,自験例もふまえ検討した.急性期AIONでは乳頭血管,乳頭周囲浅層血管密度の量的評価は乳頭腫脹のため変動はあるものの乳頭周囲浅層血管密度における区域性減少はAIONを疑うポイントとなる.慢性期では乳頭血管,乳頭周囲浅層血管ともに減少を認め,RNFLや網膜内層厚と相関を示す.慢性期ONにおいてもAIONと同様に乳頭血管,乳頭周囲浅層血管は減少するがMSやNMOなどONの原因疾患による違いがあるのかについては一定の見解は未だ得られていない.乳頭周囲浅層血管の減少は網膜神経線維の減少と相関があるもののAIONとONをOCTAのみで鑑別できるほどの疾患特異性は認められない.しかし,少数例の報告も多く今後のデータ蓄積が必要と考えられる.OCTAによる血流評価(perfusion),OCTによる構造評価(structure),視野などによる視機能評価(function)のそれぞれの相関を解析することで病態の更なる解明が進み,またLSFGなど既存の血流評価機器とOCTAデータを組み合わせ両疾患の診断,治療効果評価,障害予測の精度を高める有用なデータが得られていくことが今後期待される. |
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| ISSN: | 0289-7024 2188-2002 |
| DOI: | 10.11476/shinkeiganka.37.9 |