長期経過を観察し得た退行性変化を来した肝海綿状血管腫の一例

症例は40歳代女性.20XX年にC型慢性肝炎の治療と肝腫瘍の精査目的で当院を受診.腹部超音波検査にて肝S2/3に35 mmの腫瘤を認めた.Gd-EOB-DTPA MRI検査では,腫瘍は辺縁から中央部にかけて造影されるfill in patternを呈し,肝血管腫と診断した.その後,腫瘍は性状,大きさともに著変認めなかった.20XX+9年,腫瘍径は27 mmに縮小した.20XX+10年,造影超音波検査では,血管腫が存在した場所には7 mmの囊胞を認め,その腹側にhypovascularの後血管相にて染影が低下した14 mmの領域を認めた.20XX+11年,囊胞は変化せず,腹側の染影はさらに低下し...

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Published in肝臓 Vol. 65; no. 4; pp. 179 - 185
Main Authors 三栖, 弘三, 宮﨑, さや子, 廣渡, 佳恵, 安江, 智美, 松野, 徳視, 中堀, 輔, 向井, 香織, 西浦, 明穂, 大川, 和良, 東, 瀬菜, 内田, 麻結
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.04.2024
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.65.179

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Summary:症例は40歳代女性.20XX年にC型慢性肝炎の治療と肝腫瘍の精査目的で当院を受診.腹部超音波検査にて肝S2/3に35 mmの腫瘤を認めた.Gd-EOB-DTPA MRI検査では,腫瘍は辺縁から中央部にかけて造影されるfill in patternを呈し,肝血管腫と診断した.その後,腫瘍は性状,大きさともに著変認めなかった.20XX+9年,腫瘍径は27 mmに縮小した.20XX+10年,造影超音波検査では,血管腫が存在した場所には7 mmの囊胞を認め,その腹側にhypovascularの後血管相にて染影が低下した14 mmの領域を認めた.20XX+11年,囊胞は変化せず,腹側の染影はさらに低下した.以降4年間,囊胞および腹側の造影超音波後血管相にて染影が低下した領域は変化なく経過している.退行性変化を来したと考えられる肝海綿状血管腫の経過を長期間観察し得たため,若干の文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.65.179