遅延型自家歯牙移植術と複数の歯周外科治療が奏功した広汎型慢性歯周炎 (Stage Ⅲ Grade A) の1症例
緒言 : 広汎型慢性歯周炎 (Stage Ⅲ Grade A) に対し, 遅延型自家歯牙移植術および歯周組織再生療法と歯周形成手術などを含む各種歯周外科治療を行い, 良好な治療経過を得た症例を報告する. 症例 : 65歳女性. 歯の動揺を主訴として来院した. 多数の歯の位置異常と早期接触/咬頭干渉を認めた. 臼歯部を中心に6~8mmの深い歯周ポケットが存在し, ┌6舌側にⅡ度の根分岐部病変が認められた. 動揺度3の7┐と┌7からは排膿があった. 4mmと5mmのprobing depth (PD) 部位の割合は18.5%, 6mm以上のPDは18.5%, bleeding on probin...
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Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 64; no. 4; pp. 285 - 295 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
2021
日本歯科保存学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
DOI | 10.11471/shikahozon.64.285 |
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Summary: | 緒言 : 広汎型慢性歯周炎 (Stage Ⅲ Grade A) に対し, 遅延型自家歯牙移植術および歯周組織再生療法と歯周形成手術などを含む各種歯周外科治療を行い, 良好な治療経過を得た症例を報告する. 症例 : 65歳女性. 歯の動揺を主訴として来院した. 多数の歯の位置異常と早期接触/咬頭干渉を認めた. 臼歯部を中心に6~8mmの深い歯周ポケットが存在し, ┌6舌側にⅡ度の根分岐部病変が認められた. 動揺度3の7┐と┌7からは排膿があった. 4mmと5mmのprobing depth (PD) 部位の割合は18.5%, 6mm以上のPDは18.5%, bleeding on probing (BOP) は24.1%, plaque control record (PCR) は33.3%およびperiodontal inflamed surface area (PISA) は886.6mm2であった. エックス線所見では, 7┬7に根尖まで広がる混合型骨吸収, ┌6近心には垂直性骨吸収を認めた. cone-beam computed tomographyから, └7遠心の垂直性骨欠損および┌6の近心 (2壁性骨欠損) から舌側根分岐部に及ぶ骨吸収像があることが判明した. 骨隆起が上下顎の唇頰側に認められた. 遅延型自家歯牙移植術 (┌8を┌7相当部へ) および各種歯周外科治療 (┌6にbone swaging法を併用した歯周組織再生誘導法 (GTR法) と遊離歯肉移植術, └7にGTR法, └67間に歯肉剝離搔爬術, 76┘に歯肉剝離搔爬術と歯槽骨整形術) を実施した. 引き続き, 3カ月ごとのsupportive periodontal therapyに移行した. 初診から7年経過しているが, 移植歯や歯周組織の状態は安定している (4mmと5mmのPD : 4.2%, 6mm以上のPD : 0.0%, BOP : 6.9%, PCR : 10.4%, PISA : 68.0mm2). 結論 : 広汎型慢性歯周炎に対して, 遅延型自家歯牙移植術と複数の歯周外科治療を施行した結果, 長期に安定した歯周組織の維持に成功した. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.64.285 |