OPCABにおける冠灌流補助

OPCAB時,心電図でST変化があった6症例に対し,冠灌流補助を行った。冠灌流は大腿動脈より脱血を行い,灌流装置を用いて吻合部より末梢側へ灌流を行った。また,冠灌流時の注入圧は平均動脈圧程度となるように灌流装置の設定をした。灌流装置は自動的に圧制御のできるQUEST社製心筋保護装置MPSを用いた。その結果,グラフト1本あたりの灌流時間12±5min,灌流量35±22mL/min,注入圧70±12mmHgで,30mL/min以上の灌流量を維持できた4症例では,灌流開始後心電図は正常化し,経食道心エコー上では左室壁運動も良好となった。脱血不良や注入圧の上昇により20mL/min以下の低灌流量となっ...

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Published in体外循環技術 Vol. 30; no. 4; pp. 335 - 338
Main Authors 森田, 雅教, 落合, 亮一, 申, 範圭, 稲垣, 利紗, 平林, 則行, 小林, 紘一, 又吉, 徹, 四津, 良平, 柴野, 豊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体外循環技術医学会 2003
日本体外循環技術研究会
Subjects
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ISSN0912-2664
1884-5452
DOI10.7130/hokkaidoshakai.30.335

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Summary:OPCAB時,心電図でST変化があった6症例に対し,冠灌流補助を行った。冠灌流は大腿動脈より脱血を行い,灌流装置を用いて吻合部より末梢側へ灌流を行った。また,冠灌流時の注入圧は平均動脈圧程度となるように灌流装置の設定をした。灌流装置は自動的に圧制御のできるQUEST社製心筋保護装置MPSを用いた。その結果,グラフト1本あたりの灌流時間12±5min,灌流量35±22mL/min,注入圧70±12mmHgで,30mL/min以上の灌流量を維持できた4症例では,灌流開始後心電図は正常化し,経食道心エコー上では左室壁運動も良好となった。脱血不良や注入圧の上昇により20mL/min以下の低灌流量となった2症例では効果は見られなかった。以上の結果から,30mL/min以上の冠灌流補助を行うことができれば,血行動態は安定し,安全にOPCABが施行でき,そのためには,十分な脱血量を確保できるカニューレと圧損の低い冠灌流カテーテルが必要である。また,適切な灌流量を得るために,吻合部や微小血管を障害せず,心筋の浮腫をおこさせない範囲で,どこまで注入圧を安全に上げられるかは不明であり,今後の研究課題である。
ISSN:0912-2664
1884-5452
DOI:10.7130/hokkaidoshakai.30.335