内因性アルブミン輸送システムを利用した腫瘍選択的NO供与によるEPR効果の制御

EPR効果は、高分子抗がん療法の開発の基礎となり得るが、低い血管透過性を有するがん領域では、このEPR効果のみでは十分な送達性が得られない。したがって、一酸化窒素(NO)のような血管調節分子で内因性EPR効果を増強することは極めて有望な戦略である。筆者らは、ヒト血清アルブミン二量体のS―ニトロソ化体(SNO―HSA Dimer)がEPR効果の増強剤であることを検討してきた。ここでは、すでに承認されたPEG化リポソーム・ドキソルビシン(Doxil®)およびアルブミン結合型パクリタキセル・ナノ粒子(Abraxane®)の2種類の高分子抗がん剤を用い、血管透過性が高いC26や血管透過性が低いB16担...

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Published inDrug Delivery System Vol. 33; no. 2; pp. 130 - 138
Main Authors 丸山, 徹, 石田, 竜弘, 小田切, 優樹, 異島, 優
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本DDS学会 25.03.2018
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ISSN0913-5006
1881-2732
DOI10.2745/dds.33.130

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Summary:EPR効果は、高分子抗がん療法の開発の基礎となり得るが、低い血管透過性を有するがん領域では、このEPR効果のみでは十分な送達性が得られない。したがって、一酸化窒素(NO)のような血管調節分子で内因性EPR効果を増強することは極めて有望な戦略である。筆者らは、ヒト血清アルブミン二量体のS―ニトロソ化体(SNO―HSA Dimer)がEPR効果の増強剤であることを検討してきた。ここでは、すでに承認されたPEG化リポソーム・ドキソルビシン(Doxil®)およびアルブミン結合型パクリタキセル・ナノ粒子(Abraxane®)の2種類の高分子抗がん剤を用い、血管透過性が高いC26や血管透過性が低いB16担がんモデル、臨床病態に近いとされているSUIT2ヒト膵臓がん同所性モデルにて得られた結果を中心に報告する。
ISSN:0913-5006
1881-2732
DOI:10.2745/dds.33.130