愛知学院大学歯学部歯内治療学基礎実習における 「根管処置技能試験」 導入の試み
目的 : 愛知学院大学歯学部では, 歯髄・根尖性歯周疾患の治療を行うために必要な基本的知識, 技能, 態度を修得するために, 4年生秋学期に歯内治療学基礎実習を行っている. 現在, 実習評価は主にプロダクト評価で行っているが, そこにいたるまでのプロセス評価や学生の治療技術に対する形成的評価も重要である. そこで今回, 手用ファイルの操作法の習熟度を確認することを目的に, 基礎実習に 「根管処置技能試験」 を導入し, 技能のプロセス評価を試みた. 材料と方法 : 歯内治療学の基礎実習を履修する歯学部4年生, 2018年度138名および2019年度132名を対象とした. 試験時間は5分間とし,...
Saved in:
Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 64; no. 2; pp. 125 - 132 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
2021
日本歯科保存学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
DOI | 10.11471/shikahozon.64.125 |
Cover
Summary: | 目的 : 愛知学院大学歯学部では, 歯髄・根尖性歯周疾患の治療を行うために必要な基本的知識, 技能, 態度を修得するために, 4年生秋学期に歯内治療学基礎実習を行っている. 現在, 実習評価は主にプロダクト評価で行っているが, そこにいたるまでのプロセス評価や学生の治療技術に対する形成的評価も重要である. そこで今回, 手用ファイルの操作法の習熟度を確認することを目的に, 基礎実習に 「根管処置技能試験」 を導入し, 技能のプロセス評価を試みた. 材料と方法 : 歯内治療学の基礎実習を履修する歯学部4年生, 2018年度138名および2019年度132名を対象とした. 試験時間は5分間とし, 上顎前歯をKファイルとHファイルを用いた規格形成法で根管拡大形成を行うことを主課題として, 学生1名に対してインストラクター1名が技能評価した. 試験終了後ただちに, 学生に対しフィードバックを行った. また, 全実習終了時, 学生に対して 「根管処置技能試験」 について質問紙調査を行った. 結果 : インストラクターによる総評価は, 14点満点で2018年度は平均11.3点, 2019年度は平均12.2点であった. 質問紙調査では, 「技能試験は有意義であったか」 の問いに, 7割以上 (2018年度 : 71.0%, 2019年度 : 81.1%) の学生が 「有意義であった」 と返答した. 「技能試験が手用ファイル操作の確認に役に立ったか」 は, 「大いに役に立った」 が2018年度 : 44.5%, 2019年度 : 56.1%, 「役に立った」 が2018年度 : 38.7%, 2019年度 : 33.3%であった. 「インストラクターのフィードバックが適切であった」 と答えた学生は, 2018年度 : 84.8%, 2019年度 : 74.2%であった. 結論 : 今回の 「根管処置技能試験」 により, 全学生に対して, 診療参加型臨床実習前客観的臨床能力試験では評価できないファイル操作の確認ができ, 個別にフィードバックを行うことができた. 学生が基礎実習の段階から 「技能のプロセス評価」 を受けることは, 学生自身が臨床実習において必要な修得すべき基本的技能を再確認できる良い機会であると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.64.125 |