Esmolol光学異性体の体内動態の比較
Esmololの14C標識体をイヌおよびラットにそれぞれ10mg/kgおよび20mg/kgの用量で単回静脈内投与したときの血液中動態(イヌ)と,標的臓器である心臓中の濃度推移(ラット)および血液中(in vitro)での代謝について光学異性体間で比較し,またイヌおよびヒト血液中での光学異性体変換について検討した.さらに,血清蛋白結合率(ラット,イヌ,ヒト)について光学異性体間で比較した. 1.イヌに14C-esmololを単回静脈内投与したときの血液中濃度およびAUCはd-esmololの方がl-esmololより1.6倍高く,半減期はd-esmololの方l-esmololより1.7倍長かっ...
Saved in:
Published in | 薬物動態 Vol. 16; no. 5; pp. 427 - 435 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本薬物動態学会
2001
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-1139 |
DOI | 10.2133/dmpk.16.427 |
Cover
Summary: | Esmololの14C標識体をイヌおよびラットにそれぞれ10mg/kgおよび20mg/kgの用量で単回静脈内投与したときの血液中動態(イヌ)と,標的臓器である心臓中の濃度推移(ラット)および血液中(in vitro)での代謝について光学異性体間で比較し,またイヌおよびヒト血液中での光学異性体変換について検討した.さらに,血清蛋白結合率(ラット,イヌ,ヒト)について光学異性体間で比較した. 1.イヌに14C-esmololを単回静脈内投与したときの血液中濃度およびAUCはd-esmololの方がl-esmololより1.6倍高く,半減期はd-esmololの方l-esmololより1.7倍長かった. 2.イヌおよびヒト血液にd-esmololあるいはl-esmololを添加し,37°Cでインキュベーションして測定した半減期は,イヌではd-esmololの方がl-esmololより1.4倍長く,ヒトでは光学異性体間で差はみられなかった.また,イヌの方がヒトより半減期は短かった. 3.ラットに14C-esmololを単回静脈内投与したときの心臓への分布量および濃度推移は光学異性体間で差はみられなかった.4.イヌに14C-d-esmolo1あるいは14C-l-esmololを単回静脈内投与したときの血液中には,それぞれの相対する光学異性体は認められず,またイヌおよびヒト血液にd-esmololあるいはl-esmololを添加し,37°Cでインキュベートしたときの血液中には,それぞれの相対する光学異性体の生成はみられなかった. 5.ラット,イヌおよびヒト血清におけるd-esmololとl-esmololの蛋白結合率に差は認められなかった.また,血清蛋白に対する結合率はヒト,イヌ,ラットの順に高かった. |
---|---|
ISSN: | 0916-1139 |
DOI: | 10.2133/dmpk.16.427 |