腹腔鏡および前方アプローチの併用手術が有用であったDe Garengeot Herniaの1例

症例は87歳男性。右鼠径部の膨隆と疼痛を主訴に当院受診となった。身体診察上は右鼠径部に発赤を伴う鶏卵大の膨隆を認め,用手環納は困難であった。腹部造影CT検査で,大腿輪より脱出したヘルニア囊内に虫垂が存在し,de Garengeot herniaの術前診断で緊急手術を施行した。腹腔鏡アプローチで手術開始し,ヘルニア門を確認すると,大腿輪に虫垂が嵌頓していた。De Garengeot herniaと診断した。腹腔内からの牽引による嵌頓解除は困難であったため,自動縫合器を用いて虫垂根部を切離し,前方アプローチで虫垂を摘出した。その後,前方より大腿ヘルニア根治術を施行した。De Garengeot h...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 41; no. 1; pp. 89 - 92
Main Authors 仲山, 孝, 林, 嗣博, 滝口, 光一, 羽成, 直行, 輿石, 直樹, 井ノ上, 鴻太郎, 佐藤, 和磨, 絹田, 俊爾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2021
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.41.1_89

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Summary:症例は87歳男性。右鼠径部の膨隆と疼痛を主訴に当院受診となった。身体診察上は右鼠径部に発赤を伴う鶏卵大の膨隆を認め,用手環納は困難であった。腹部造影CT検査で,大腿輪より脱出したヘルニア囊内に虫垂が存在し,de Garengeot herniaの術前診断で緊急手術を施行した。腹腔鏡アプローチで手術開始し,ヘルニア門を確認すると,大腿輪に虫垂が嵌頓していた。De Garengeot herniaと診断した。腹腔内からの牽引による嵌頓解除は困難であったため,自動縫合器を用いて虫垂根部を切離し,前方アプローチで虫垂を摘出した。その後,前方より大腿ヘルニア根治術を施行した。De Garengeot herniaにおいて嵌頓解除が困難な場合,前方から摘出する選択は汚染拡大を防ぐうえで有用性が高い。嵌頓解除困難なde Garengeot herniaに対して腹腔内アプローチと前方アプローチの併用が有用であった1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.41.1_89