腹腔鏡下に切除した小腸腸間膜仮性嚢胞の1例

症例は33歳,女性.主訴は左側腹部腫瘤.腹部CTおよびMRIにてTreitz靱帯近傍に55mm大の球形嚢胞性腫瘤を認め,腸間膜奇形腫の疑いにて手術を施行した.手術所見では,腫瘤はTreitz靱帯より約20cm肛門側の空腸間膜に存在し,腹腔鏡下に腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は単房性嚢胞性病変であった.病理検査では嚢胞壁に上皮を伴わないことから,腸間膜仮性嚢胞と診断された.腸間膜嚢胞性腫瘤に対する術前診断は困難であり,穿破することなく完全摘出することが重要である.比較的小さな症例に対する腹腔鏡手術は,低侵襲かつ安全な診断的治療として有用である....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 6; pp. 1067 - 1072
Main Authors 吉田, 瑞樹, 吉田, 英樹, 西山, 方規, 中澤, 一憲, 北山, 紀州, 須浪, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.1067

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Summary:症例は33歳,女性.主訴は左側腹部腫瘤.腹部CTおよびMRIにてTreitz靱帯近傍に55mm大の球形嚢胞性腫瘤を認め,腸間膜奇形腫の疑いにて手術を施行した.手術所見では,腫瘤はTreitz靱帯より約20cm肛門側の空腸間膜に存在し,腹腔鏡下に腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は単房性嚢胞性病変であった.病理検査では嚢胞壁に上皮を伴わないことから,腸間膜仮性嚢胞と診断された.腸間膜嚢胞性腫瘤に対する術前診断は困難であり,穿破することなく完全摘出することが重要である.比較的小さな症例に対する腹腔鏡手術は,低侵襲かつ安全な診断的治療として有用である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.1067