上顎第一大臼歯で5根管が認められた症例

緒言:根管治療の目的は,すべての根管を拡大形成し,清掃した根管を緊密に封鎖することである.根管治療の失敗の主な原因は,不十分な根管充塡と根管の見落としであるといわれている.われわれは,5根管の上顎第一大臼歯の症例を経験したので報告する. 症例:患者は23歳男性で,上顎左側第一大臼歯の根管治療のために来科した.術前のエックス線写真と歯科用コーンビームCT(以下,CBCT)より,近心頰側根に2根管存在することが確認された.さらに歯科用実体顕微鏡(以下,マイクロスコープ)を用いて根管治療を行ったところ,近心頰側根に2根管,遠心頰側根に1根管,口蓋根が2根管の5根管で,それぞれ独立した根尖孔をもつこと...

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Published in日本歯科保存学雑誌 Vol. 64; no. 5; pp. 364 - 370
Main Authors 北村, 成孝, 本田, 雅規, 柴田, 直樹, 林, 建佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 31.10.2021
日本歯科保存学会
Subjects
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ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.64.364

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Summary:緒言:根管治療の目的は,すべての根管を拡大形成し,清掃した根管を緊密に封鎖することである.根管治療の失敗の主な原因は,不十分な根管充塡と根管の見落としであるといわれている.われわれは,5根管の上顎第一大臼歯の症例を経験したので報告する. 症例:患者は23歳男性で,上顎左側第一大臼歯の根管治療のために来科した.術前のエックス線写真と歯科用コーンビームCT(以下,CBCT)より,近心頰側根に2根管存在することが確認された.さらに歯科用実体顕微鏡(以下,マイクロスコープ)を用いて根管治療を行ったところ,近心頰側根に2根管,遠心頰側根に1根管,口蓋根が2根管の5根管で,それぞれ独立した根尖孔をもつことが確認された.近心頰側第二根管と口蓋の2根管の拡大形成を行い,側方加圧充塡法にて根管充塡を行った. 成績:術後5年間経過した現在でも予後良好であり,エックス線画像的にも異常は認められない. 結論:CBCTとマイクロスコープを併用することは,診断や根管治療を行うのに有効であると思われる.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.64.364