細胞のばらつきはノイズではなく情報である
「1. 細胞応答のばらつきと情報理論」生物は環境の変化に対して正確に応答することで環境に適応し, 恒常性を維持している. しかしながら, 生物のシステムを細かく見ていけば, 人工的なシステムに比べばらつきが大きいことがわかってきた. 例えば, 1細胞計測が行われるようになることで, 細胞ごとに応答がばらつくことが明らかとなってきた. このように個々の細胞に着目すると大きなばらつきが存在する中で, 生物全体として環境に対してどのように正確に応答しているのかは, 未だ不明なことが多い. シグナル伝達にノイズが加わると, 刺激強度に応じた正確な応答ができない. それでは, ノイズが存在する中でシグナ...
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| Published in | 生物物理 Vol. 61; no. 5; pp. 288 - 292 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2021
日本生物物理学会 |
| Subjects | |
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| ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
| DOI | 10.2142/biophys.61.288 |
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| Summary: | 「1. 細胞応答のばらつきと情報理論」生物は環境の変化に対して正確に応答することで環境に適応し, 恒常性を維持している. しかしながら, 生物のシステムを細かく見ていけば, 人工的なシステムに比べばらつきが大きいことがわかってきた. 例えば, 1細胞計測が行われるようになることで, 細胞ごとに応答がばらつくことが明らかとなってきた. このように個々の細胞に着目すると大きなばらつきが存在する中で, 生物全体として環境に対してどのように正確に応答しているのかは, 未だ不明なことが多い. シグナル伝達にノイズが加わると, 刺激強度に応じた正確な応答ができない. それでは, ノイズが存在する中でシグナル伝達経路はどの程度正確に応答ができると言えるのであろうか. 情報理論はノイズが存在する中での情報伝達量についての解析的枠組みを提供しており, シグナル伝達経路に対しても適用することが可能である. |
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| ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
| DOI: | 10.2142/biophys.61.288 |