エナメル象牙境におけるエッチングの影響
目的 : エナメル象牙境に対するリン酸エッチングの影響について波長掃引型光干渉断層計 (SS-OCT) および従来の走査電子顕微鏡 (SEM) を用いて検討を行った. 材料と方法 : 健全ヒト抜去歯を半切後, #600耐水研磨紙を用いて研削した面に対して, 以下の異なる歯面処理を施した. 1) 歯面処理を行わないコントロール (CT群), 2) クリアフィルメガボンド2 (クラレノリタケデンタル) のプライマーを20秒間塗布後, エアーにて5秒間乾燥 (SE群), 3) エナメルコンディショナー (松風) を15秒間塗布後, 10秒間水洗, 5秒間エアー乾燥 (EC群), 4) Kエッチャン...
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Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 64; no. 4; pp. 271 - 278 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
2021
日本歯科保存学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
DOI | 10.11471/shikahozon.64.271 |
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Summary: | 目的 : エナメル象牙境に対するリン酸エッチングの影響について波長掃引型光干渉断層計 (SS-OCT) および従来の走査電子顕微鏡 (SEM) を用いて検討を行った. 材料と方法 : 健全ヒト抜去歯を半切後, #600耐水研磨紙を用いて研削した面に対して, 以下の異なる歯面処理を施した. 1) 歯面処理を行わないコントロール (CT群), 2) クリアフィルメガボンド2 (クラレノリタケデンタル) のプライマーを20秒間塗布後, エアーにて5秒間乾燥 (SE群), 3) エナメルコンディショナー (松風) を15秒間塗布後, 10秒間水洗, 5秒間エアー乾燥 (EC群), 4) Kエッチャントシリンジ (クラレノリタケデンタル) を15秒間塗布後, 10秒間水洗, 5秒間エアー乾燥 (KE群). 各歯面処理を施した後, 試料はただちに湿箱にて保管し, レーザー顕微鏡 (CLSM, キーエンス) およびSS-OCT (サンテック) を用いてエナメル象牙境部の観察を行った. その後, 試料を乾燥, 金蒸着し, SEMを用いて観察を行った. 結果 : CLSM観察にて, いずれの群においても歯質面にクラックは認められなかった. 一方SS-OCT観察にて, KE群に歯面処理した面からエナメル象牙境に沿って0.5mmほど輝度が上昇した白線を認めた. この白線は, 他の群においては認められなかった. SEM観察において, CT群にて削条痕およびスミヤー層の残留が観察された. 一方, SE群・EC群・KE群において, 明瞭なエナメル質および象牙質が観察され, 象牙質部に象牙細管構造が観察された. さらにKE群においては, エナメル質部にエナメル小柱構造が観察された. 結論 : リン酸エッチングによって過度な脱灰が引き起こされ, エナメル象牙境がより脆弱な状態になる可能性が示唆された. またこの脆弱性は, SS-OCTを用いることによりエナメル象牙境に沿って輝度が上昇した白線として観察された. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.64.271 |