甲状腺クリーゼ治療後に大腸狭窄による閉塞性大腸炎を発症した1例

症例は44歳男性。発熱,食事摂取不良,体動困難を主訴に当院救急外来へ搬送。臨床症状と検査値から甲状腺クリーゼの診断となった。入院後は主に脈拍コントロール,甲状腺ホルモンの調整,ステロイドと解熱剤投与を行い,2週間後に退院した。退院後1週間目に腹痛を主訴に救急外来を受診,汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した。術中所見で横行結腸の狭窄と口側腸管の拡張がみられ,狭窄部と拡張腸管を切除した。術後経過は良好で14日目に退院となった。病理検査から結腸狭窄病変に一致して潰瘍性病変がみられ,虚血が原因であると考えられ,狭窄部より口側腸管は炎症細胞浸潤と出血を認めるのみで消化管層構造は保たれ,その他異常所見は...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 1; pp. 61 - 63
Main Authors 大渕, 佳祐, 小野, 仁, 海老沼, 翔太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.61

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Summary:症例は44歳男性。発熱,食事摂取不良,体動困難を主訴に当院救急外来へ搬送。臨床症状と検査値から甲状腺クリーゼの診断となった。入院後は主に脈拍コントロール,甲状腺ホルモンの調整,ステロイドと解熱剤投与を行い,2週間後に退院した。退院後1週間目に腹痛を主訴に救急外来を受診,汎発性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した。術中所見で横行結腸の狭窄と口側腸管の拡張がみられ,狭窄部と拡張腸管を切除した。術後経過は良好で14日目に退院となった。病理検査から結腸狭窄病変に一致して潰瘍性病変がみられ,虚血が原因であると考えられ,狭窄部より口側腸管は炎症細胞浸潤と出血を認めるのみで消化管層構造は保たれ,その他異常所見はみられなかった。甲状腺クリーゼ発症時に結腸に虚血性潰瘍をきたし狭窄となり,緊急手術を要する閉塞性大腸炎,汎発性腹膜炎に至ったと考えられ過去に報告のないまれな症例であった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.61