五苓散が有効であった91歳乳房浮腫の1例
症例は91歳,女性.3週間前より右乳房の疼痛・腫脹が出現し,近医を受診.抗菌薬投与にて改善が見られないため,当院を紹介受診となった.右乳房の腫脹と乳輪部発赤を認め,明らかな腫瘤は触知しなかった.マンモグラフィは右乳房の濃度上昇と皮膚肥厚を認め,乳房超音波では皮膚の肥厚と脂肪織の浮腫を認め,乳腺組織は不明瞭であった.炎症性乳癌の鑑別のために針生検を施行したが,悪性所見は認めなかった.心不全を疑う所見がなかったため,利尿剤を使用せず五苓散を開始した.緩徐ではあるが浮腫の改善を認め,投与後12カ月で左右差が見られなくなった.乳房浮腫に対し五苓散を使用し有効であった症例を経験したので,文献的考察を加え...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 6; pp. 1005 - 1008 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2022
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.83.1005 |
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Summary: | 症例は91歳,女性.3週間前より右乳房の疼痛・腫脹が出現し,近医を受診.抗菌薬投与にて改善が見られないため,当院を紹介受診となった.右乳房の腫脹と乳輪部発赤を認め,明らかな腫瘤は触知しなかった.マンモグラフィは右乳房の濃度上昇と皮膚肥厚を認め,乳房超音波では皮膚の肥厚と脂肪織の浮腫を認め,乳腺組織は不明瞭であった.炎症性乳癌の鑑別のために針生検を施行したが,悪性所見は認めなかった.心不全を疑う所見がなかったため,利尿剤を使用せず五苓散を開始した.緩徐ではあるが浮腫の改善を認め,投与後12カ月で左右差が見られなくなった.乳房浮腫に対し五苓散を使用し有効であった症例を経験したので,文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.83.1005 |