手術・検査前肝炎ウイルス検査の陰性結果伝達手法に関する検討

肝炎ウイルス検査をうけ陰性だったものに対して着目した検討は少ない.我々の施設で構築した,陽性・陰性に関わらず肝炎ウイルス検査の結果を口頭・文書で通知し記録するシステムを利用して,陰性結果を伝えられた患者が情報をどの程度認知し記憶しているかを2年間にわたりアンケート調査した.文書と口頭で陰性結果を伝えた場合,1年後に陰性結果を記憶していた,とするものはアンケート回収者の42%に過ぎなかったが,2年目に名刺サイズ大のカラー印刷された陰性カードを共に配布したところ,1年後の陰性結果認知度は68%と有意に改善した.簡便なツールを用いることで陰性結果の認知度向上につながることが明らかになった.陰性結果を...

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Published in肝臓 Vol. 64; no. 6; pp. 259 - 269
Main Authors 池上, 正, 會田, 美恵子, 是永, 匡紹, 厚生労働科学研究費, 肝炎等克服政策研究事業「新たな手法を用いた肝炎ウイルス検査受検率・陽性者受診率の向上に資する研究」班
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.06.2023
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.64.259

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Summary:肝炎ウイルス検査をうけ陰性だったものに対して着目した検討は少ない.我々の施設で構築した,陽性・陰性に関わらず肝炎ウイルス検査の結果を口頭・文書で通知し記録するシステムを利用して,陰性結果を伝えられた患者が情報をどの程度認知し記憶しているかを2年間にわたりアンケート調査した.文書と口頭で陰性結果を伝えた場合,1年後に陰性結果を記憶していた,とするものはアンケート回収者の42%に過ぎなかったが,2年目に名刺サイズ大のカラー印刷された陰性カードを共に配布したところ,1年後の陰性結果認知度は68%と有意に改善した.簡便なツールを用いることで陰性結果の認知度向上につながることが明らかになった.陰性結果を正確に伝え,記憶してもらうことは,不必要な検査の繰り返しを減少させ,社会全体でのウイルス性肝炎に対する認知度を向上させ,最終的にはウイルス性肝炎患者に対する差別・偏見の抑止につながることが期待される.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.64.259