胆囊出血を契機に診断した重複胆管および膵胆管合流異常を伴う胆囊癌の1例

症例は58歳の男性で,倦怠感・下腿浮腫を主訴に前医を受診したところ,貧血および胆囊腫瘍を指摘され当科へ紹介となった.精査の結果,胆囊癌(Gf, papillary-expanding type,hep,50×40mm,cT2b,cPV0,cA0,cN0,cM0,cStage IIB)に伴う胆囊出血の診断となった.また,術前に施行した内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)では,稀な形態異常である重複胆管と非拡張型の膵胆管合流異常の合併を認めた.本症例は胆囊床切除術と領域リンパ節郭清を施行し,術後24カ月無再発経過中である.重複胆管は極めて稀な胆道の先天性奇形異常であり,「2本の開存性の保たれ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 9; pp. 1498 - 1503
Main Authors 大友, 直樹, 木村, 隆一郎, 大内田, 次郎, 井手野, 昇, 丸塚, 浩助, 新垣, 滉大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.1498

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Summary:症例は58歳の男性で,倦怠感・下腿浮腫を主訴に前医を受診したところ,貧血および胆囊腫瘍を指摘され当科へ紹介となった.精査の結果,胆囊癌(Gf, papillary-expanding type,hep,50×40mm,cT2b,cPV0,cA0,cN0,cM0,cStage IIB)に伴う胆囊出血の診断となった.また,術前に施行した内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)では,稀な形態異常である重複胆管と非拡張型の膵胆管合流異常の合併を認めた.本症例は胆囊床切除術と領域リンパ節郭清を施行し,術後24カ月無再発経過中である.重複胆管は極めて稀な胆道の先天性奇形異常であり,「2本の開存性の保たれた胆管が別々に消化管に開口している先天奇形」と定義されており,過去に数十例の報告がなされているのみである.今回われわれは,胆囊出血を契機に診断しえた重複胆管および膵胆管合流異常を伴った胆囊癌の1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1498