胃全摘後の上腸間膜動脈閉塞症に対してハイブリッド手術を施行し救命し得た1例
症例は胃全摘R-Y再建術の既往をもつ70歳台男性で,持続する心窩部痛を主訴に発症5時間後,当院に救急搬送された。造影CTで中結腸動脈以遠の上腸間膜動脈閉塞と小腸虚血所見を認め,上腸間膜動脈閉塞症と診断し,緊急で血管内治療と手術を併せたハイブリッド手術を施行する方針とした。発症8時間半後に血管造影,血栓除去,吸引術を施行し,右結腸動脈の開通を得た。発症10時間後にハイブリッド手術室に入室し,約320cmの虚血腸管を切除し,口側断端は小腸人工肛門を造設,肛門側断端は粘液瘻を造設した。術後,短腸症候群に陥ったが,術後8ヵ月目に人工肛門閉鎖術(空腸盲腸吻合)を行い,以後経口摂取での栄養管理へ移行し,経...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 6; pp. 1005 - 1008 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
30.09.2023
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.43.1005 |
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Summary: | 症例は胃全摘R-Y再建術の既往をもつ70歳台男性で,持続する心窩部痛を主訴に発症5時間後,当院に救急搬送された。造影CTで中結腸動脈以遠の上腸間膜動脈閉塞と小腸虚血所見を認め,上腸間膜動脈閉塞症と診断し,緊急で血管内治療と手術を併せたハイブリッド手術を施行する方針とした。発症8時間半後に血管造影,血栓除去,吸引術を施行し,右結腸動脈の開通を得た。発症10時間後にハイブリッド手術室に入室し,約320cmの虚血腸管を切除し,口側断端は小腸人工肛門を造設,肛門側断端は粘液瘻を造設した。術後,短腸症候群に陥ったが,術後8ヵ月目に人工肛門閉鎖術(空腸盲腸吻合)を行い,以後経口摂取での栄養管理へ移行し,経口摂取のみで生活している。現在,術後15ヵ月生存中である。胃全摘後の上腸間膜動脈閉塞症はまれであり,今回われわれは血管内治療と外科的開腹術のハイブリッド手術により救命に成功したため,文献的考察を加え報告する。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.43.1005 |