急性腹症で発症した小腸間膜脂肪腫の1例

症例は18歳,男性.右下腹部痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診した.腹部単純CT所見より,小腸捻転を伴う長径6cmの脂肪濃度の腫瘍が疑われた.捻転は自然に解除されたが,造影CT所見でも腸間膜脂肪腫が考えられた.症状再燃を考慮し,手術を施行した.腫瘍は小腸間膜に存在し,小腸を跨ぐように小腸と広範囲に接しており,小腸を合併切除し腫瘍を摘出した.病理組織診断は成熟脂肪細胞からなる脂肪腫であった.腸間膜脂肪腫は,遊離の腸間膜に発生する充実性原発性腫瘍で,腸間膜腫瘍の約2%と非常に稀な疾患である.若年における急性腹症で,手術適応の多くは急性虫垂炎や婦人科関連疾患等の炎症性疾患であるが,腸間膜脂肪腫も急性腹症...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 8; pp. 1480 - 1483
Main Authors 三浦, 史郎, 佐藤, 俊輔, 哲翁, 華子, 三好, 敬之, 岡本, 辰哉, 北里, 周, 竹下, 浩明, 黒木, 保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.1480

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Summary:症例は18歳,男性.右下腹部痛と嘔吐を主訴に救急外来を受診した.腹部単純CT所見より,小腸捻転を伴う長径6cmの脂肪濃度の腫瘍が疑われた.捻転は自然に解除されたが,造影CT所見でも腸間膜脂肪腫が考えられた.症状再燃を考慮し,手術を施行した.腫瘍は小腸間膜に存在し,小腸を跨ぐように小腸と広範囲に接しており,小腸を合併切除し腫瘍を摘出した.病理組織診断は成熟脂肪細胞からなる脂肪腫であった.腸間膜脂肪腫は,遊離の腸間膜に発生する充実性原発性腫瘍で,腸間膜腫瘍の約2%と非常に稀な疾患である.若年における急性腹症で,手術適応の多くは急性虫垂炎や婦人科関連疾患等の炎症性疾患であるが,腸間膜脂肪腫も急性腹症の原因となり得る.本症例のように,若年においても急性腹症,特に腸閉塞症状の背景には本疾患を想起し診療を行う必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.1480