肝細胞癌の多発肺転移に対してアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法を導入し,ギラン・バレー症候群を来した一例

60歳女性.肝細胞癌多発肺転移に対してアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法を開始した14日後から四肢末梢の感覚障害と四肢の筋力低下が出現した.脳脊髄液検査では蛋白および細胞数の上昇を認め,血清中のGalNAc-GD1a IgG抗体とGal-C IgG抗体が陽性であった.神経伝導速度検査で脱髄型末梢神経障害を認め,アテゾリズマブ関連の薬物性ギラン・バレー症候群と診断した.大量免疫グロブリン療法にて筋力低下は軽快した.今回,肝細胞癌に対して使用した免疫チェックポイント阻害薬として免疫関連副作用でギラン・バレー症候群を呈し,早期治療介入により症状改善を得た症例を経験したため報告する....

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Published in肝臓 Vol. 64; no. 5; pp. 243 - 252
Main Authors 田中, 聡司, 山本, 司郎, 山本, 俊祐, 原田, 理史, 渡邊, 和具, 阿部, 友太朗, 宮崎, 愛理, 石田, 永, 高橋, 実佑, 笠倉, 至言, 福武, 伸康, 三田, 英治, 上月, 美穂, 山上, 宏, 津室, 悠, 西村, 佑子, 松島, 健祐, 長谷川, 裕子, 川端, 将生, 榊原, 祐子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.05.2023
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.64.243

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Summary:60歳女性.肝細胞癌多発肺転移に対してアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法を開始した14日後から四肢末梢の感覚障害と四肢の筋力低下が出現した.脳脊髄液検査では蛋白および細胞数の上昇を認め,血清中のGalNAc-GD1a IgG抗体とGal-C IgG抗体が陽性であった.神経伝導速度検査で脱髄型末梢神経障害を認め,アテゾリズマブ関連の薬物性ギラン・バレー症候群と診断した.大量免疫グロブリン療法にて筋力低下は軽快した.今回,肝細胞癌に対して使用した免疫チェックポイント阻害薬として免疫関連副作用でギラン・バレー症候群を呈し,早期治療介入により症状改善を得た症例を経験したため報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.64.243