腹腔鏡下に切除した多発腸石を伴うMeckel憩室の1例
症例は46歳,女性.2カ月前からの右下腹部痛を主訴に近医を受診し,右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知された.腹部造影CTでは,骨盤腔内に多発石灰化結石と液体貯留を伴う約4cm大の腫瘤を認めた.病変は小腸と連続性があり,Meckel憩室内に多数の腸石が存在している病態と診断した.画像・血液検査で炎症所見などは無かったため緊急性は無いと判断し,待機的に腹腔鏡下Meckel憩室切除術を施行した.病理組織学的には異所性胃粘膜を伴うMeckel憩室で,憩室内の約20個の腸石は0.5-2cm大で鋭利なものも含まれていた.術後に腹痛は寛解した.Meckel憩室は憩室炎や穿孔の合併により緊急手術が必要となることが...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 9; pp. 1459 - 1465 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2023
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.84.1459 |
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Summary: | 症例は46歳,女性.2カ月前からの右下腹部痛を主訴に近医を受診し,右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知された.腹部造影CTでは,骨盤腔内に多発石灰化結石と液体貯留を伴う約4cm大の腫瘤を認めた.病変は小腸と連続性があり,Meckel憩室内に多数の腸石が存在している病態と診断した.画像・血液検査で炎症所見などは無かったため緊急性は無いと判断し,待機的に腹腔鏡下Meckel憩室切除術を施行した.病理組織学的には異所性胃粘膜を伴うMeckel憩室で,憩室内の約20個の腸石は0.5-2cm大で鋭利なものも含まれていた.術後に腹痛は寛解した.Meckel憩室は憩室炎や穿孔の合併により緊急手術が必要となることがあるが,無症状の場合には治療の必要はなく,待機的に手術を施行した報告例は少ない.自験例のように腸石を伴うMeckel憩室は稀であるが,腸石が慢性的な腹痛の原因や,憩室炎や穿孔を引き起こすと考えられる場合には,待機的手術を検討すべきである. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.84.1459 |