Bag closureの誤飲が契機となって発症した直腸憩室穿孔の1例

症例は73歳,女性。腹痛,嘔吐,下痢を主訴に当科外来を受診した。腹膜刺激症状を認め,CT検査では肝の腹側に遊離ガスが認められた。またS状結腸から直腸にかけて多発憩室と周囲の脂肪織濃度上昇および腹水の貯留を認めた。直腸憩室穿孔の診断で緊急開腹手術を行った。腹膜翻転部より3cm口側の直腸前壁に3mm大の穿孔を認め,周囲の腸管漿膜や腹膜には発赤と膿苔の付着が広範囲に認められた。Hartmann手術を行い,十分な洗浄とドレナージを併施した。穿孔部の粘膜面にはbag closure(以下,BC)の鋭利な角が陥入しており容易には外れなかった。このためBCが憩室穿孔の契機となったと考えられた。術後経過は良好...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 1; pp. 53 - 56
Main Authors 松友, 寛和, 竹内, 保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.53

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Summary:症例は73歳,女性。腹痛,嘔吐,下痢を主訴に当科外来を受診した。腹膜刺激症状を認め,CT検査では肝の腹側に遊離ガスが認められた。またS状結腸から直腸にかけて多発憩室と周囲の脂肪織濃度上昇および腹水の貯留を認めた。直腸憩室穿孔の診断で緊急開腹手術を行った。腹膜翻転部より3cm口側の直腸前壁に3mm大の穿孔を認め,周囲の腸管漿膜や腹膜には発赤と膿苔の付着が広範囲に認められた。Hartmann手術を行い,十分な洗浄とドレナージを併施した。穿孔部の粘膜面にはbag closure(以下,BC)の鋭利な角が陥入しており容易には外れなかった。このためBCが憩室穿孔の契機となったと考えられた。術後経過は良好であった。また患者の認知力は正常で誤飲についての記憶はないとのことであった。BCにより消化管穿孔をきたした例はこれまでに報告がなく,本邦初報告と思われる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.53