治療選択に難渋した原発性腹膜癌・S状結腸癌・乳癌の同時性3重複癌の1例
症例は78歳の女性で,既往歴に子宮頸癌(広汎子宮全摘出術),右潜在性乳癌(腋窩リンパ節郭清術)がある.他院での胆石症手術時に腹水および横隔膜に結節性病変を認め,腺癌の所見であった.術後の検査でS状結腸癌および乳癌を認めたため,精査加療目的に紹介となった.腹膜結節の病理組織学的検査で漿液性腺癌を認めたこと,CA125の異常高値(1,880 U/ml),腹膜結節の存在部位などから原発性腹膜癌,S状結腸癌および乳癌の同時性3重癌と診断した.当院初診時には原発性腹膜癌の進行を認めたためにpaclitaxel+carboplatin療法を先行した.2コース終了後のCTで腹水および腹膜結節の著明な改善を認...
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          | Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 6; pp. 1259 - 1266 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本臨床外科学会
    
        2021
     | 
| Subjects | |
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| ISSN | 1345-2843 1882-5133  | 
| DOI | 10.3919/jjsa.82.1259 | 
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| Summary: | 症例は78歳の女性で,既往歴に子宮頸癌(広汎子宮全摘出術),右潜在性乳癌(腋窩リンパ節郭清術)がある.他院での胆石症手術時に腹水および横隔膜に結節性病変を認め,腺癌の所見であった.術後の検査でS状結腸癌および乳癌を認めたため,精査加療目的に紹介となった.腹膜結節の病理組織学的検査で漿液性腺癌を認めたこと,CA125の異常高値(1,880 U/ml),腹膜結節の存在部位などから原発性腹膜癌,S状結腸癌および乳癌の同時性3重癌と診断した.当院初診時には原発性腹膜癌の進行を認めたためにpaclitaxel+carboplatin療法を先行した.2コース終了後のCTで腹水および腹膜結節の著明な改善を認め,S状結腸切除,大網切除および遺残した右卵巣摘出術を施行した.その後,原発性腹膜癌の再燃を認め,診断から27カ月目に原疾患にて死亡した. | 
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| ISSN: | 1345-2843 1882-5133  | 
| DOI: | 10.3919/jjsa.82.1259 |