日本人小児の推定糸球体濾過量はCrから算出される値が実測糸球体濾過量と最も近似する

背景・目的:本邦では小児の腎機能評価としてクレアチニン(Cr),シスタチンC(CysC),β2ミクログロブリン(β2MG)-推算糸球体濾過量(eGFR)が頻用されるが,近年各々のeGFR値間に乖離を認める症例を経験する.方法:イヌリンクリアランス検査(Cin)による実測糸球体濾過量(mGFR)とCr, CysC, β2MG, 24時間クレアチニンクリアランス(CCr)-eGFRの整合性について検討した.結果:対象は当院でCin検査を実施した生後3か月~18歳の慢性腎臓病(CKD)患者120例で各検査の平均値(ml/min/1.73 m2)はmGFR 63.5±32.6, Cr-eGFR 63....

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 38; pp. oa.24-030 - 0
Main Authors 田中, 一樹, 寺野, 千香子, 上村, 治, 秋山, 希, 吉兼, 正宗, 佐田, 惇, 政岡, 凌, 川向, 永記, 藤田, 直也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2025
日本小児腎臓病学会
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.oa.24-030

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Summary:背景・目的:本邦では小児の腎機能評価としてクレアチニン(Cr),シスタチンC(CysC),β2ミクログロブリン(β2MG)-推算糸球体濾過量(eGFR)が頻用されるが,近年各々のeGFR値間に乖離を認める症例を経験する.方法:イヌリンクリアランス検査(Cin)による実測糸球体濾過量(mGFR)とCr, CysC, β2MG, 24時間クレアチニンクリアランス(CCr)-eGFRの整合性について検討した.結果:対象は当院でCin検査を実施した生後3か月~18歳の慢性腎臓病(CKD)患者120例で各検査の平均値(ml/min/1.73 m2)はmGFR 63.5±32.6, Cr-eGFR 63.3±26.2, CysC-eGFR 68.8±28.3, β2MG-eGFR 87.3±40.5, CCr-eGFR 57.4±26.9であった.結論:mGFRを基準とした場合最も妥当性,信頼性が高い推算法はCr-eGFRであった.Cr-eGFRと比較しCysC-eGFRはやや高く,β2MG-eGFRは非常に高く算出されており,腎機能評価時には注意が必要である.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.oa.24-030