大学生における肩こりの心理・身体的特性について 自覚的ストレス,STAI,SF-36,唾液コルチゾールによる検討

目的:肩こりは国民の多くが経験する症状であるが,肩こりに関する研究は非常に遅れているのが現状である.そこで本研究では,肩こりの特性を明らかにするため,肩こりを有する者と有しない者の比較検討を行った. 方法:対象は自覚的な肩こりの有無により,肩こりを有する成人男性13名(NP群,平均年齢20.2±0.7歳)と肩こりを有しない成人男性10名(CON群,平均年齢21.2±1.5歳)とした.肩こりの評価にはVisual Analogue Scale(VAS),圧痛・硬結所見を用い,ストレスの評価には自覚的ストレスのVAS,State-Trait Anxiety Inventory(STAI),MOS...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 79; no. 2; pp. 119 - 129
Main Authors 藤本, 英樹, 古賀, 義久, 松浦, 悠人, 坂井, 友実, 安野, 富美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 31.05.2016
日本温泉気候物理医学会
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ISSN0029-0343
1884-3697
DOI10.11390/onki.79.2297

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Summary:目的:肩こりは国民の多くが経験する症状であるが,肩こりに関する研究は非常に遅れているのが現状である.そこで本研究では,肩こりの特性を明らかにするため,肩こりを有する者と有しない者の比較検討を行った. 方法:対象は自覚的な肩こりの有無により,肩こりを有する成人男性13名(NP群,平均年齢20.2±0.7歳)と肩こりを有しない成人男性10名(CON群,平均年齢21.2±1.5歳)とした.肩こりの評価にはVisual Analogue Scale(VAS),圧痛・硬結所見を用い,ストレスの評価には自覚的ストレスのVAS,State-Trait Anxiety Inventory(STAI),MOS 36-Item Short-Form Health Survey(SF-36),唾液コルチゾールを用いた.唾液コルチゾール濃度は,酵素免疫測定法(ELISA法)により求めた.また,唾液の採取時間は,午前9時から10時以内の採取とした. 結果:NP群の肩こり感全体のVASは56.9±17.3mmであった.圧痛・硬結所見では,硬結所見に有意差は認められなかったが,左右僧帽筋上部線維,右頭板状筋の圧痛がNP群で有意に高かった(P<0.05).自覚的ストレスのVASではNP群59.1±23.7mm,CON群10.8±17.6mmで有意差が認められた(P<0.05).STAIでは,特性不安ではNP群52.7±9.1点,CON群44.6±9.9点で有意差は認められなかったが,状態不安においてNP群42.2±6.6点,CON群35.9±9.1点で有意差が認められた(P<0.05).SF-36では,下位尺度8項目のうち,身体機能,日常役割機能(身体),体の痛み,全体的健康感,活力,心の健康に有意差が認められた(P<0.05).唾液コルチゾール濃度はNP群16.3±8.2nmol/L,CON群14.8±4.5nmol/Lで有意差は認められなかった. 考察・結語:肩こりの心理・身体的な特性について検討した結果,唾液コルチゾール濃度では有意差は認められなかったが,肩こりを有する者は,自覚ストレス度や不安度が高く,精神的・身体的な健康度が低いことが示された.このことから,肩こりに身体的要因のみならず,心理社会的要因が関与している可能性が示唆された.
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki.79.2297