神経根パルス高周波法によって疼痛とADLが改善した遷延性術後痛の2症例

難治性の遷延性術後痛(persistent postoperative pain:PPP)に対する治療として神経根パルス高周波法(pulsed radiofrequency:PRF)が有効であった2症例を経験したので報告する.症例1は68歳,男性.5年前に前立腺摘出術を施行後,鼠径部の突っ張るような痛みが続いた.薬物療法や内臓神経ブロックで痛みは軽減せず,体表の末梢神経ブロックの効果は一過性であった.胸部,腰部神経根のPRFを2回施行後,数カ月間にわたって痛みが軽減し,趣味であるゴルフを再開することが可能となった.症例2は52歳,女性.3年前に膵胆管合流異常に対し,空腸胆管縫合術を施行後,慢性...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 27; no. 1; pp. 56 - 60
Main Authors 八木, 知佐子, 塩川, 浩輝, 外, 須美夫, 前田, 愛子, 諸橋, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 25.02.2020
日本ペインクリニック学会
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ISSN1340-4903
1884-1791
DOI10.11321/jjspc.19-0003

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Summary:難治性の遷延性術後痛(persistent postoperative pain:PPP)に対する治療として神経根パルス高周波法(pulsed radiofrequency:PRF)が有効であった2症例を経験したので報告する.症例1は68歳,男性.5年前に前立腺摘出術を施行後,鼠径部の突っ張るような痛みが続いた.薬物療法や内臓神経ブロックで痛みは軽減せず,体表の末梢神経ブロックの効果は一過性であった.胸部,腰部神経根のPRFを2回施行後,数カ月間にわたって痛みが軽減し,趣味であるゴルフを再開することが可能となった.症例2は52歳,女性.3年前に膵胆管合流異常に対し,空腸胆管縫合術を施行後,慢性的な腹痛があった.肋間神経ブロックや薬物療法では若干の痛みの軽減があるのみであった.胸部神経根PRFを複数回施行したところ,自覚症状と日常生活動作(activities of daily living:ADL)が改善した.これら2症例の経験から,PPPに対するPRFが疼痛軽減とADLの改善に有効であることが示唆された.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.19-0003