下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術後に静脈血栓塞栓症を発症した症例の検討

【目的】下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)で最も留意すべき術後合併症は血栓性合併症である.当院で術後に静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した症例について検討を行った.【対象】2015年5月から2021年1月に伏在型下肢静脈瘤に対しELVAを行った1049名を対象とした.【結果】5例で深部静脈血栓症(DVT)を認め,その内3例に肺血栓塞栓症(PTE)を併発した.DVT発症の5例中4例は術前に表在性静脈血栓症(SVT)を認め,SVTは有意にVTEの危険因子であった.全身麻酔,両側EVLA, 年齢,手術時間,瘤切除数,肥満のいずれもVTE発症の危険因子とはならなかった.【結論】術前にSV...

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Published in静脈学 Vol. 33; no. 3; pp. 295 - 299
Main Authors 中島, 隆之, 佐藤, 央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 31.10.2022
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ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.22-16

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Summary:【目的】下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術(EVLA)で最も留意すべき術後合併症は血栓性合併症である.当院で術後に静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した症例について検討を行った.【対象】2015年5月から2021年1月に伏在型下肢静脈瘤に対しELVAを行った1049名を対象とした.【結果】5例で深部静脈血栓症(DVT)を認め,その内3例に肺血栓塞栓症(PTE)を併発した.DVT発症の5例中4例は術前に表在性静脈血栓症(SVT)を認め,SVTは有意にVTEの危険因子であった.全身麻酔,両側EVLA, 年齢,手術時間,瘤切除数,肥満のいずれもVTE発症の危険因子とはならなかった.【結論】術前にSVT既往のある症例ではEVLA術後にVTEを発症する危険因子であることが示唆された.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.22-16