消化管穿孔を疑い緊急手術を施行した気腫性膀胱炎に伴う膀胱破裂の1例
症例は81歳男性。腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した。腹部所見は平坦やや硬で, 腹部全体に圧痛と反跳痛を認めた。腹部CT検査では上腹部を中心に腹腔内遊離ガスと膀胱壁在気腫を認めた。上部消化管穿孔による汎発性腹膜炎を疑い,同日緊急手術を施行した。腹腔鏡下で腹腔内を観察すると淡血性の混濁した腹水を中等量認めるも,消化管に明らかな穿孔所見を認めなかった。膀胱右側壁に径1cmの穿孔所見を認め,膀胱破裂に伴う腹膜炎と診断した。穿孔部を縫合閉鎖し腹腔内を洗浄して手術を終了した。術後明らかな合併症を認めなかったが,廃用症候群が進んだためリハビリテーションを行い第35病日に退院した。膀胱破裂の際に腹腔内遊離ガス...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; pp. 375 - 378 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
31.07.2021
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.41.5_375 |
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Summary: | 症例は81歳男性。腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診した。腹部所見は平坦やや硬で, 腹部全体に圧痛と反跳痛を認めた。腹部CT検査では上腹部を中心に腹腔内遊離ガスと膀胱壁在気腫を認めた。上部消化管穿孔による汎発性腹膜炎を疑い,同日緊急手術を施行した。腹腔鏡下で腹腔内を観察すると淡血性の混濁した腹水を中等量認めるも,消化管に明らかな穿孔所見を認めなかった。膀胱右側壁に径1cmの穿孔所見を認め,膀胱破裂に伴う腹膜炎と診断した。穿孔部を縫合閉鎖し腹腔内を洗浄して手術を終了した。術後明らかな合併症を認めなかったが,廃用症候群が進んだためリハビリテーションを行い第35病日に退院した。膀胱破裂の際に腹腔内遊離ガスを伴うことがあり,消化管穿孔との鑑別が困難である。今回,消化管穿孔を疑い緊急手術を施行した気腫性膀胱炎に伴う膀胱破裂の1例を経験したので報告する。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.41.5_375 |