金属片誤飲による十二指腸穿通から遅発性に発症した肝膿瘍の1例

症例は18歳の男性で,心窩部痛を主訴に当院を紹介受診となった。問診で3ヵ月前に金属片を自ら飲み込んだとのことであった。心窩部に圧痛を認めたが腹膜刺激症状はなかった。血液検査では炎症反応および肝胆道系酵素の上昇を認めた。腹部造影CT検査では十二指腸から肝右葉内へ穿通する金属片およびその先端には径65mm大の肝膿瘍を認めた。緊急経皮経肝的膿瘍ドレナージと抗菌薬投与を行い,その4日後に開腹下異物摘出術を施行した。手術は十二指腸球部前壁を切開し異物末端を把持し抜去した。異物は106mm長の金属片であった。魚骨や爪楊枝などの先端が鋭利な細長い異物はときに消化管穿通をきたし,まれに無症状で肝内に迷入し潜伏...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; pp. 397 - 401
Main Authors 永井, 啓之, 野澤, 聡志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2021
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.41.5_397

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Summary:症例は18歳の男性で,心窩部痛を主訴に当院を紹介受診となった。問診で3ヵ月前に金属片を自ら飲み込んだとのことであった。心窩部に圧痛を認めたが腹膜刺激症状はなかった。血液検査では炎症反応および肝胆道系酵素の上昇を認めた。腹部造影CT検査では十二指腸から肝右葉内へ穿通する金属片およびその先端には径65mm大の肝膿瘍を認めた。緊急経皮経肝的膿瘍ドレナージと抗菌薬投与を行い,その4日後に開腹下異物摘出術を施行した。手術は十二指腸球部前壁を切開し異物末端を把持し抜去した。異物は106mm長の金属片であった。魚骨や爪楊枝などの先端が鋭利な細長い異物はときに消化管穿通をきたし,まれに無症状で肝内に迷入し潜伏期間を経てから肝膿瘍を呈することがある。今回3ヵ月間無症状で経過した金属片が十二指腸から肝臓へ穿通し肝膿瘍をきたした症例を経験した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.41.5_397