左遺残坐骨動脈を伴う腹部大動脈瘤・左内腸骨動脈瘤に対して腸骨分枝用ステントグラフトを使用した1例

腹部大動脈瘤,左内腸骨動脈瘤に左遺残坐骨動脈を伴う稀な合併症例を認めたため報告する.症例は74歳男性.整形外科手術後の造影CTにて腹部大動脈瘤,左内腸骨動脈瘤,左遺残坐骨動脈を診断され,当科紹介となった.下肢血流は遺残坐骨動脈により保持していたため,遺残坐骨動脈の血流維持と瘤の治療に対して腸骨分枝用ステントグラフト(GORE Excluder Iliac Branch Endoprosthesis; IBE)を使用する方針とした.術後のType IIエンドリーク(EL)を予防する目的で内腸骨動脈瘤からの分枝動脈に対して,コイル塞栓を先行し,2週間後にIBEを挿入した.最終造影で明らかなELはな...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 4; pp. 197 - 201
Main Authors 金山, 拓亮, 池端, 幸起, 橋詰, 賢一, 本多, 正徳, 髙木, 秀暢, 志水, 秀行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 10.07.2020
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.20-00033

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Summary:腹部大動脈瘤,左内腸骨動脈瘤に左遺残坐骨動脈を伴う稀な合併症例を認めたため報告する.症例は74歳男性.整形外科手術後の造影CTにて腹部大動脈瘤,左内腸骨動脈瘤,左遺残坐骨動脈を診断され,当科紹介となった.下肢血流は遺残坐骨動脈により保持していたため,遺残坐骨動脈の血流維持と瘤の治療に対して腸骨分枝用ステントグラフト(GORE Excluder Iliac Branch Endoprosthesis; IBE)を使用する方針とした.術後のType IIエンドリーク(EL)を予防する目的で内腸骨動脈瘤からの分枝動脈に対して,コイル塞栓を先行し,2週間後にIBEを挿入した.最終造影で明らかなELはなく,術後造影CTでも左遺残坐骨動脈血流は良好であった.現在術後1年半経過したが左遺残坐骨動脈血流は良好で瘤化や血栓形成はない.IBE使用による遺残坐骨動脈の温存は一定条件下に有用な方法と考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.20-00033