乳腺線維腺腫内に発生した浸潤性小葉癌の1例

症例は52歳,女性.12年前に穿刺吸引細胞診で左12時方向に17mm大の乳腺線維腺腫と診断された.今回,左乳房の違和感を自覚し受診した際,精査の結果,右乳癌を認めた.左12時方向の既知の腫瘤は形態的に変化なかったが,超音波検査で流入血流の増加があり,針生検を施行したところ,乳腺線維腺腫内の浸潤性小葉癌と診断された.両側乳癌の診断で右乳房部分切除術+右腋窩リンパ節郭清レベルII,左乳房部分切除術を施行した.術後病理検査で,右乳癌はpT1bN1M0 Stage IA,左乳癌は12mm大の乳腺線維腺腫内に留まる7mm大の浸潤性小葉癌であった.乳腺線維腺腫内に乳癌が合併することは稀であるが,本症例のよ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 3; pp. 497 - 502
Main Authors 曳野, 肇, 槇野, 好成, 川又, あゆみ, 三浦, 弘資, 村田, 陽子, 高橋, 卓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.497

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Summary:症例は52歳,女性.12年前に穿刺吸引細胞診で左12時方向に17mm大の乳腺線維腺腫と診断された.今回,左乳房の違和感を自覚し受診した際,精査の結果,右乳癌を認めた.左12時方向の既知の腫瘤は形態的に変化なかったが,超音波検査で流入血流の増加があり,針生検を施行したところ,乳腺線維腺腫内の浸潤性小葉癌と診断された.両側乳癌の診断で右乳房部分切除術+右腋窩リンパ節郭清レベルII,左乳房部分切除術を施行した.術後病理検査で,右乳癌はpT1bN1M0 Stage IA,左乳癌は12mm大の乳腺線維腺腫内に留まる7mm大の浸潤性小葉癌であった.乳腺線維腺腫内に乳癌が合併することは稀であるが,本症例のように浸潤癌が合併することもある.本邦で報告された乳腺線維腺腫内乳癌をもとに細胞診,組織診,切除生検すべき症例について考察する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.497