硬膜動静脈瘻によりパーキンソニズムの増悪を来したパーキンソン病の1例
確定診断されたパーキンソン病の74歳女性に硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula: DAVF)によるパーキンソニズムが合併した症例を初めて報告する.7年間のパーキンソン病罹患歴があり,2カ月の経過で薬剤不応性の歩行障害を主体とするパーキンソニズムおよび意識障害が出現し入院した.MRI,MRA/Vで皮質下白質の浮腫性変化や脳静脈環流異常が疑われ,精査の結果,右横−S状静脈洞部DAVFが判明した.入院第5病日に血管内治療を行い血行動態は改善した.術2日後には意識レベルが,術4日後にはパーキンソニズムが軽快した.DAVFによるパーキンソニズムは,その機序は明確でないが基...
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          | Published in | 脳卒中 Vol. 47; no. 1; pp. 47 - 54 | 
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| Main Authors | , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            一般社団法人 日本脳卒中学会
    
        2025
     日本脳卒中学会  | 
| Subjects | |
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| ISSN | 0912-0726 1883-1923  | 
| DOI | 10.3995/jstroke.11261 | 
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| Summary: | 確定診断されたパーキンソン病の74歳女性に硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistula: DAVF)によるパーキンソニズムが合併した症例を初めて報告する.7年間のパーキンソン病罹患歴があり,2カ月の経過で薬剤不応性の歩行障害を主体とするパーキンソニズムおよび意識障害が出現し入院した.MRI,MRA/Vで皮質下白質の浮腫性変化や脳静脈環流異常が疑われ,精査の結果,右横−S状静脈洞部DAVFが判明した.入院第5病日に血管内治療を行い血行動態は改善した.術2日後には意識レベルが,術4日後にはパーキンソニズムが軽快した.DAVFによるパーキンソニズムは,その機序は明確でないが基底核や前頭葉の血流異常が潜在的原因であると推測され,脳血管性パーキンソニズムに類似した歩行障害が主体である.DAVFへの早期かつ完全な治療が良好な予後につながると考えられる. | 
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| ISSN: | 0912-0726 1883-1923  | 
| DOI: | 10.3995/jstroke.11261 |