うつ病患者の不安症状と血清脂肪酸 大うつ病性障害と双極性障害の違い
「はじめに」 うつ病とそれに伴う自殺者の増加は, わが国において深刻な社会経済的問題となっている. わが国の自殺者は過去5年間毎年3万人を超えており, 自殺の原因, 動機が明らかなもののうち, 最も多かったのは「健康問題(44%)」であり, その中で最も多いのが「うつ病性障害(以下, うつ病と略す)(41%)」となっている1). WHOは, うつ病は重大な社会経済的負担となり, 2020年までに健康寿命に対する影響力が循環器系疾患に続く2番目に大きな疾患になると予測しており, 早期の適切且つ持続的な治療が望まれている. うつ病はその診断基準2)において, 気分障害のカテゴリーで取り扱われており...
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Published in | 脂質栄養学 Vol. 21; no. 1; pp. 89 - 97 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脂質栄養学会
2012
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Subjects | |
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ISSN | 1343-4594 1883-2237 |
DOI | 10.4010/jln.21.89 |
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Summary: | 「はじめに」 うつ病とそれに伴う自殺者の増加は, わが国において深刻な社会経済的問題となっている. わが国の自殺者は過去5年間毎年3万人を超えており, 自殺の原因, 動機が明らかなもののうち, 最も多かったのは「健康問題(44%)」であり, その中で最も多いのが「うつ病性障害(以下, うつ病と略す)(41%)」となっている1). WHOは, うつ病は重大な社会経済的負担となり, 2020年までに健康寿命に対する影響力が循環器系疾患に続く2番目に大きな疾患になると予測しており, 早期の適切且つ持続的な治療が望まれている. うつ病はその診断基準2)において, 気分障害のカテゴリーで取り扱われており, その中に単極性大うつ病性障害(以下, 大うつ病と略す)と双極性障害(以下, 双極性と略す)の2つのサブカテゴリーが規定されている. うつ病の治療は薬物療法と心理療法が中心であるが, 栄養療法としてEPA・DHA・α-リノレン酸等のn-3系脂肪酸(以下, n-3と略す)3), 葉酸を含むビタミンB群(以下, VB群と略す)3)の有効性や, 季節性感情障害とビタミンD 4)との関連などが報告されている. |
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ISSN: | 1343-4594 1883-2237 |
DOI: | 10.4010/jln.21.89 |