膵十二指腸動脈瘤に対してハイブリッド治療を行った2症例

膵十二指腸動脈瘤(PDAA)は瘤径に関係なく破裂する可能性が示唆されており,発見次第治療を考慮する必要がある.また,解剖学的に複雑な位置に存在するため,低侵襲治療である血管内治療による塞栓術(TAE)が選択される機会が増加している.しかしながら,主要血管を閉塞させる可能性があるなどの解剖学的な理由でTAEだけでは治療を完遂することが難しい症例がある.今回TAEと従来の外科手術を組み合わせたハイブリッド治療を行った2症例を経験したので報告する.1例目のPDAAに対しては,TAEと外科的瘤切除を2期的に分割して手術治療を行い,2例目のPDAAに対しては,TAEと外科的バイパス術を同時に施行し,2例...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 30; no. 1; pp. 7 - 12
Main Authors 大村, 篤史, 岡田, 健次, 辻本, 貴紀, 岡田, 卓也, 山口, 雅人, 杉本, 幸司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 27.02.2021
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.20-00058

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Summary:膵十二指腸動脈瘤(PDAA)は瘤径に関係なく破裂する可能性が示唆されており,発見次第治療を考慮する必要がある.また,解剖学的に複雑な位置に存在するため,低侵襲治療である血管内治療による塞栓術(TAE)が選択される機会が増加している.しかしながら,主要血管を閉塞させる可能性があるなどの解剖学的な理由でTAEだけでは治療を完遂することが難しい症例がある.今回TAEと従来の外科手術を組み合わせたハイブリッド治療を行った2症例を経験したので報告する.1例目のPDAAに対しては,TAEと外科的瘤切除を2期的に分割して手術治療を行い,2例目のPDAAに対しては,TAEと外科的バイパス術を同時に施行し,2例共に良好な経過を辿った.ハイブリッド治療は膵十二指腸動脈瘤に対して非常に有用な選択肢であると思われた.しかしながら,本治療の長期成績についての報告は少なく,注意深いフォローアップが必要である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.20-00058