右後頭顔領域の新規脳梗塞により相貌失認および表情認知の困難さを呈した1例

広範な陳旧性の左後頭葉梗塞に加え,右後頭葉外側の新規脳梗塞にて熟知相貌に対する相貌失認を呈した症例を報告した.症例は70歳代の右利き男性であった.熟知相貌および表情の認知に困難さを認め,全般性注意機能,処理速度の低下がみられた.全般性認知機能および相貌認知以外の視覚認知機能は保たれていた.相貌失認は左右半球の後頭顔領域,紡錘状回顔領域,前部側頭葉の脳内ネットワークに機能不全が生じたことで発現したと考えられた.老若および性別の判断に関する相貌認知は保たれていた.拡散テンソルトラクトグラフィにより,右半球の下前頭後頭束や下縦束の白質線維が温存されたことが要因であると考えられた.さらに,全般性注意機...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳卒中 Vol. 46; no. 6; pp. 443 - 452
Main Authors 山本, 裕泰, 寺澤, 悠理, 本村, 和也, 澤木, 優治, 梅田, 聡, 山内, 崇弘, 山本, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2024
日本脳卒中学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.11246

Cover

More Information
Summary:広範な陳旧性の左後頭葉梗塞に加え,右後頭葉外側の新規脳梗塞にて熟知相貌に対する相貌失認を呈した症例を報告した.症例は70歳代の右利き男性であった.熟知相貌および表情の認知に困難さを認め,全般性注意機能,処理速度の低下がみられた.全般性認知機能および相貌認知以外の視覚認知機能は保たれていた.相貌失認は左右半球の後頭顔領域,紡錘状回顔領域,前部側頭葉の脳内ネットワークに機能不全が生じたことで発現したと考えられた.老若および性別の判断に関する相貌認知は保たれていた.拡散テンソルトラクトグラフィにより,右半球の下前頭後頭束や下縦束の白質線維が温存されたことが要因であると考えられた.さらに,全般性注意機能および処理速度の向上を図る認知リハビリテーション介入によって,表情認知の改善が得られる可能性が示唆された.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11246