東京2020オリンピック・パラリンピックにおける皮膚科の活躍

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では,選手村のポリクリニックに皮膚科専用診察室が設けられた.皮膚科専門医が全日待機したのは,オリンピック・パラリンピック史上初めてのことであった.多国籍の選手が参加し,オリンピックでは英語,フランス語やスペイン語が,パラリンピックではアラビア語とフランス語が多用された.言葉の壁が懸念されたが,ボランティアとして参加した多くの医師が多言語翻訳機を活用した結果円滑な診療ができ,選手からも感謝された. オリンピック期間では,痤瘡,しみ・しわなどのスキンケア相談,皮膚腫瘍,皮膚がん検診,白斑等に関する相談が多く,世界のトップアスリートたちも,体調管理の一...

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Published in日本臨床皮膚科医会雑誌 Vol. 41; no. 3; pp. 485 - 491
Main Author 津田, 淳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床皮膚科医会 2024
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ISSN1349-7758
1882-272X
DOI10.3812/jocd.41.485

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Summary:東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では,選手村のポリクリニックに皮膚科専用診察室が設けられた.皮膚科専門医が全日待機したのは,オリンピック・パラリンピック史上初めてのことであった.多国籍の選手が参加し,オリンピックでは英語,フランス語やスペイン語が,パラリンピックではアラビア語とフランス語が多用された.言葉の壁が懸念されたが,ボランティアとして参加した多くの医師が多言語翻訳機を活用した結果円滑な診療ができ,選手からも感謝された. オリンピック期間では,痤瘡,しみ・しわなどのスキンケア相談,皮膚腫瘍,皮膚がん検診,白斑等に関する相談が多く,世界のトップアスリートたちも,体調管理の一環としてスキンケアに対する関心が高いことがわかった.パラリンピック期間では,下腿潰瘍や切断端部の皮膚トラブル,爪のトラブル,褥瘡などの外傷性皮膚疾患を多く認めた.経済的事情により自国での皮膚科受診が困難であることから,ポリクリニックの皮膚科を受診する者も認められた. 今後も皮膚科専門医の知識とアイデアを集約して共有し,アスリート達のスポーツ活動を支える皮膚科医のネットワークを広げ,アスリート達の健康とパフォーマンス向上に貢献していきたい.
ISSN:1349-7758
1882-272X
DOI:10.3812/jocd.41.485