75歳以上の原発性乳癌に対する局所麻酔下手術
75歳以上の高齢者乳癌に対して,基礎疾患等を理由に局所麻酔下の手術を行った49例について,後方視的に検討した.年齢の中央値は85歳(75-94歳)で,乳房部分切除が47例,全切除が2例であった.手術時間は中央値で42分(22分-103分),術中出血量は全例で少量であった.術後合併症は,軽度の漿液腫6例(12.2%)のみであった.術後乳房照射は8例のみ(部分切除47乳房中の17.0%)であり,薬物療法はホルモン療法28例,が21例であった.局所領域再発を49例中4例に認めたが,これらは全例,照射もホルモン療法も行えていない症例であり,遠隔再発および原病死はなかった.同時期の75歳以上の全身麻酔下...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 2; pp. 231 - 237 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2023
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.84.231 |
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Summary: | 75歳以上の高齢者乳癌に対して,基礎疾患等を理由に局所麻酔下の手術を行った49例について,後方視的に検討した.年齢の中央値は85歳(75-94歳)で,乳房部分切除が47例,全切除が2例であった.手術時間は中央値で42分(22分-103分),術中出血量は全例で少量であった.術後合併症は,軽度の漿液腫6例(12.2%)のみであった.術後乳房照射は8例のみ(部分切除47乳房中の17.0%)であり,薬物療法はホルモン療法28例,が21例であった.局所領域再発を49例中4例に認めたが,これらは全例,照射もホルモン療法も行えていない症例であり,遠隔再発および原病死はなかった.同時期の75歳以上の全身麻酔下手術例390例と比較すると,全生存率は不良であったが,乳癌特異的生存率には差はなかった.局所麻酔下手術は,今後増える高齢者乳癌に対する重要な治療オプションであると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.84.231 |