特発性気腹症と診断したが,7ヵ月後にS状結腸軸捻転に伴う腹腔内遊離ガスと判明した1例

症例は90歳台の男性,頸部痛と体動困難で救急搬送されcrowned dens syndromeと診断した。腹部CTで遊離ガスを認めたが,腹部症状はなく特発性気腹症と診断し保存的に加療した。第7病日の上部消化管内視鏡検査では原因となるような所見を認めず,下部消化管内視鏡検査は同意が得られないため施行しなかった。退院して7ヵ月後に腹痛で救急搬送となった。CTでS状結腸拡張と壁内気腫を認め,遊離ガスや腹水も伴っていた。S状結腸軸捻転を疑ったが,腸管穿孔や壊死の可能性を否定できなかったため開腹手術を行った。腸管穿孔や壊死を認めず,捻転を解除し再発防止のためS状結腸を切除した。腹腔内遊離ガスに対して十分...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 3; pp. 701 - 704
Main Authors 岩崎, 安博, 北山, 淳一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2023
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.43.701

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Summary:症例は90歳台の男性,頸部痛と体動困難で救急搬送されcrowned dens syndromeと診断した。腹部CTで遊離ガスを認めたが,腹部症状はなく特発性気腹症と診断し保存的に加療した。第7病日の上部消化管内視鏡検査では原因となるような所見を認めず,下部消化管内視鏡検査は同意が得られないため施行しなかった。退院して7ヵ月後に腹痛で救急搬送となった。CTでS状結腸拡張と壁内気腫を認め,遊離ガスや腹水も伴っていた。S状結腸軸捻転を疑ったが,腸管穿孔や壊死の可能性を否定できなかったため開腹手術を行った。腸管穿孔や壊死を認めず,捻転を解除し再発防止のためS状結腸を切除した。腹腔内遊離ガスに対して十分な原因検索を行うことなく特発性気腹症と診断することにより,将来的に緊急処置を要する病態に発展する可能性がある。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.701