最近の下大静脈フィルター使用経験

下大静脈フィルター(IVCF)は長期留置に伴う合併症もあり早期回収が推奨されるが,大きなフィルター内血栓があると回収時に肺動脈血栓塞栓症(PTE)を生じる可能性がある.2017年4月~2021年12月に診察した静脈血栓塞栓症(VTE)308例のうち下肢深部静脈血栓症(DVT)は271例(うち中枢型148例).IVCFを留置した12例について検討した(中枢型DVTの8.1%).IVCFはニューハウスプロテクトSE 1例,OptEase 2例,ALN 9例.回収が3例,画像上フィルター内血栓なく回収が4例,2 cm未満の血栓あり回収が3例,4 cm以上の大きな血栓あり直接作用型経口抗凝固薬(DOA...

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Published in静脈学 Vol. 35; no. 1; pp. 67 - 74
Main Authors 海野, 直樹, 竹内, 裕也, 石川, 諄武, 嘉山, 貴文, 露木, 肇, 遠藤, 佑介, 山本, 尚人, 片橋, 一人, 山中, 裕太, 犬塚, 和徳, 佐野, 真規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 27.04.2024
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ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.23-28

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Summary:下大静脈フィルター(IVCF)は長期留置に伴う合併症もあり早期回収が推奨されるが,大きなフィルター内血栓があると回収時に肺動脈血栓塞栓症(PTE)を生じる可能性がある.2017年4月~2021年12月に診察した静脈血栓塞栓症(VTE)308例のうち下肢深部静脈血栓症(DVT)は271例(うち中枢型148例).IVCFを留置した12例について検討した(中枢型DVTの8.1%).IVCFはニューハウスプロテクトSE 1例,OptEase 2例,ALN 9例.回収が3例,画像上フィルター内血栓なく回収が4例,2 cm未満の血栓あり回収が3例,4 cm以上の大きな血栓あり直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)強化療法後回収が2例.全例で有症状PTE.DOAC強化療法の2例とも出血性合併症.血栓溶解療法では出血リスクがある場合でもDOAC強化療法でフィルター内血栓を縮小させて有症状PTEを発症することなくIVCF回収が可能であることが示唆された.ガイドラインが改訂され,使用頻度が減少しているなか,IVCFの適正使用についても考察した.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.23-28