先天性心疾患のある小児胆石症の治療

先天性心疾患は胆石発生の危険因子であるが,先天性心疾患を有する小児胆石症に対する治療方針は定まっていない.2015年1月から2020年12月に当科を受診した小児15例を対象とし,治療方針を検討した.基礎疾患は13例がチアノーゼ性心疾患,発症時年齢は24生日~9歳4カ月.初診時に胆嚢結石は13例で,このうち3例で総胆管に落石した.10例はursodeoxycholic acidの投与を行われたが,結石は縮小しなかった.6例で胆嚢摘出術を施行した.総胆管結石を認めた5例中4例は強い症状を伴って発症したが,自然排石した.1例は内視鏡で摘出した.先天性心疾患を有する小児の胆嚢結石は合併症の発症率が高く...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 3; pp. 461 - 465
Main Authors 野田, 卓男, 納所, 洋, 谷本, 光隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.461

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Summary:先天性心疾患は胆石発生の危険因子であるが,先天性心疾患を有する小児胆石症に対する治療方針は定まっていない.2015年1月から2020年12月に当科を受診した小児15例を対象とし,治療方針を検討した.基礎疾患は13例がチアノーゼ性心疾患,発症時年齢は24生日~9歳4カ月.初診時に胆嚢結石は13例で,このうち3例で総胆管に落石した.10例はursodeoxycholic acidの投与を行われたが,結石は縮小しなかった.6例で胆嚢摘出術を施行した.総胆管結石を認めた5例中4例は強い症状を伴って発症したが,自然排石した.1例は内視鏡で摘出した.先天性心疾患を有する小児の胆嚢結石は合併症の発症率が高く,発症時の予後が悪い.結石溶解療法も無効であるため,無症候性であっても胆嚢摘出を検討する必要がある.総胆管結石は自然排石を期待できるが,排石しない場合は内視鏡的または外科的総胆管結石除去術が有用である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.461