出血性ショックを呈した十二指腸潰瘍出血に対し緊急膵頭十二指腸切除術を施行し,胃癌十二指腸浸潤の併存を認めた1例

症例は64歳,男性。2022年3月吐血,呼吸苦で前医に救急搬送され,CTで左気胸,縦隔気腫を認め食道穿孔が疑われた。当院搬送後の内視鏡検査では食道穿孔は認めず,スコープ通過不能の幽門狭窄および十二指腸潰瘍を認めた。保存的加療を施行したが入院4日目に吐血,出血性ショックをきたし,十二指腸潰瘍出血と診断し緊急手術を施行した。術中所見から部分切除や縫合止血は困難であったため膵頭十二指腸切除術を施行し,術後24日目に退院となった。切除標本の病理学的検査では深掘れの強い十二指腸潰瘍を認め,出血の原因と考えられた。また幽門部に胃癌を認め,十二指腸浸潤をきたしており幽門狭窄の原因と考えられた。上部消化管出血...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 7; pp. 759 - 762
Main Authors 星, 博勝, 遠藤, 彰, 本多, 正樹, 伊東, 浩次, 奥澤, 平明, 坂下, 麻衣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.759

Cover

More Information
Summary:症例は64歳,男性。2022年3月吐血,呼吸苦で前医に救急搬送され,CTで左気胸,縦隔気腫を認め食道穿孔が疑われた。当院搬送後の内視鏡検査では食道穿孔は認めず,スコープ通過不能の幽門狭窄および十二指腸潰瘍を認めた。保存的加療を施行したが入院4日目に吐血,出血性ショックをきたし,十二指腸潰瘍出血と診断し緊急手術を施行した。術中所見から部分切除や縫合止血は困難であったため膵頭十二指腸切除術を施行し,術後24日目に退院となった。切除標本の病理学的検査では深掘れの強い十二指腸潰瘍を認め,出血の原因と考えられた。また幽門部に胃癌を認め,十二指腸浸潤をきたしており幽門狭窄の原因と考えられた。上部消化管出血に対しては内視鏡的止血術が第一選択であるが,潰瘍や悪性疾患による瘢痕狭窄や周囲の線維化を伴う場合,内視鏡的止血術や縫合止血術などが困難となり膵頭十二指腸切除術などの拡大手術も要すると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.759