腹腔鏡下鼠径ヘルニア術後に腹膜閉鎖部間隙に小腸が嵌頓した2例

鼠径ヘルニア手術において腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(transabdominal preperitoneal hernia repair:以下,TAPP)を選択する施設が増加している。TAPPでは従来の前方アプローチ法と比較して発症率の高い合併症があり,術後の腸閉塞もその1つである。TAPP術後の腹膜閉鎖部間隙より腹膜前腔への小腸の嵌入が引き金となり腸閉塞を発症した2症例を経験したので報告する。症例は86歳男性と79歳男性。前者は術後18日目,後者は術後2日目に腸閉塞の診断で緊急手術を行った。いずれも腹膜閉鎖部の間隙より腹膜前腔に小腸が嵌入したことが契機となり腸閉塞を発症していた。前者は腸切除...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 6; pp. 699 - 703
Main Authors 栗山, 翔, 上田, 康二, 松田, 明久, 萩原, 信敏, 吉田, 寛, 野村, 務
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2022
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.699

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Summary:鼠径ヘルニア手術において腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(transabdominal preperitoneal hernia repair:以下,TAPP)を選択する施設が増加している。TAPPでは従来の前方アプローチ法と比較して発症率の高い合併症があり,術後の腸閉塞もその1つである。TAPP術後の腹膜閉鎖部間隙より腹膜前腔への小腸の嵌入が引き金となり腸閉塞を発症した2症例を経験したので報告する。症例は86歳男性と79歳男性。前者は術後18日目,後者は術後2日目に腸閉塞の診断で緊急手術を行った。いずれも腹膜閉鎖部の間隙より腹膜前腔に小腸が嵌入したことが契機となり腸閉塞を発症していた。前者は腸切除を要し,後者は腹膜間隙の再縫合のみで手術を終了した。TAPPを施行する際は,確実な腹膜閉鎖を行うことが肝要であり,腸閉塞が疑われた際には早急な対応が重要であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.699