医療機器の承認を目指す診療現場の取り組み:脳血管内治療
目的:医療機器が承認を得るために行う臨床試験(治験), 承認後に安全性と有効性を検証する製造販売後調査(PMS), 臨床研究は, 診療現場が新しい医薬品・医療機器に関して取り組む課題である. 脳血管内治療における医療機器の治験, 使用成績調査, 多施設共同臨床研究の自験例をまとめ報告する. 対象と方法:演者が経験した脳血管内治療関連医療機器の20の治験と26の多施設共同臨床研究の背景, 方法, 結果などを検討した. 結果:2007年のGCP省令施行後の16治験では, 脳動脈瘤コイル塞栓術用ステントおよび脳動脈瘤用フローダイバーターが各4, 頭蓋内動脈硬化症用ステントが1と頭蓋内留置機器が多くを...
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Published in | 神経治療学 Vol. 35; no. 4; p. 514 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経治療学会
2018
Japanese Society of Neurological Therapeutics |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-8443 2189-7824 |
DOI | 10.15082/jsnt.35.4_514 |
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Summary: | 目的:医療機器が承認を得るために行う臨床試験(治験), 承認後に安全性と有効性を検証する製造販売後調査(PMS), 臨床研究は, 診療現場が新しい医薬品・医療機器に関して取り組む課題である. 脳血管内治療における医療機器の治験, 使用成績調査, 多施設共同臨床研究の自験例をまとめ報告する. 対象と方法:演者が経験した脳血管内治療関連医療機器の20の治験と26の多施設共同臨床研究の背景, 方法, 結果などを検討した. 結果:2007年のGCP省令施行後の16治験では, 脳動脈瘤コイル塞栓術用ステントおよび脳動脈瘤用フローダイバーターが各4, 頭蓋内動脈硬化症用ステントが1と頭蓋内留置機器が多くを占めていた. 医師主導治験3, 日米共同治験2が含まれ, 海外臨床試験データの添付は11であった. 現時点の結果は途中中止2, 既承認6, 終了5, 進行中3である. この他に11の医療機器が海外臨床試験のデータのみで承認されている. 26の多施設共同研究の対象は頚動脈ステント留置術7が最多で脳動脈瘤塞栓術5が続く. 26研究のうち, 臨床試験は4(比較試験3), 前向き研究6, 後ろ向き研究16, PMSは6であった. 目的により対象, 評価項目, 観察期間は様々で, 治験とは大きく異なる環境で行われているため信頼性確保のレベルは十分とは言えないが, 実際の臨床現場での使用実態, 安全性, 有効性を示すことを目的としている. 結語:さまざまな目的と背景により研究デザインは異なるが, 対象や評価項目の適切な設定, そして研究実施体制の整備と信頼性の向上により有用な臨床研究を進めるべきである. |
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ISSN: | 0916-8443 2189-7824 |
DOI: | 10.15082/jsnt.35.4_514 |