粘膜下腫瘍様形態を呈した胃癌壁内転移の1例

症例は79歳,男性.右側腹部の違和感を主訴に受診.腹部CTにて胃前庭部より発生し,膵体部浸潤を伴う粘膜下腫瘍を指摘された.その後の上部消化管内視鏡検査にて胃角部後壁に3型病変を認め,病理組織学的に中分化型管状腺癌であった.以上より,進行胃癌と胃粘膜下腫瘍の合併と診断し外科的切除の方針となった.術中所見で胃粘膜下腫瘍は膵体部と横行結腸間膜に浸潤しており,幽門側胃切除,膵体部分節切除,横行結腸間膜合併切除術,リンパ節郭清を施行し,尾側膵を残胃後壁に吻合し,Billroth I法にて再建した.病理組織学的には胃角部の3型病変は固有筋層に浸潤する高分化型管状腺癌で,胃粘膜下腫瘍は胃角部腫瘍と類似の組織...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 4; pp. 711 - 716
Main Authors 松本, 萌, 土田, 明彦, 頼木, 領, 永川, 裕一, 齊藤, 準, 勝又, 健次, 中西, 邦昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.711

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Summary:症例は79歳,男性.右側腹部の違和感を主訴に受診.腹部CTにて胃前庭部より発生し,膵体部浸潤を伴う粘膜下腫瘍を指摘された.その後の上部消化管内視鏡検査にて胃角部後壁に3型病変を認め,病理組織学的に中分化型管状腺癌であった.以上より,進行胃癌と胃粘膜下腫瘍の合併と診断し外科的切除の方針となった.術中所見で胃粘膜下腫瘍は膵体部と横行結腸間膜に浸潤しており,幽門側胃切除,膵体部分節切除,横行結腸間膜合併切除術,リンパ節郭清を施行し,尾側膵を残胃後壁に吻合し,Billroth I法にて再建した.病理組織学的には胃角部の3型病変は固有筋層に浸潤する高分化型管状腺癌で,胃粘膜下腫瘍は胃角部腫瘍と類似の組織像からなり,胃癌の壁内転移と診断された.今回,胃粘膜下腫瘍様形態を呈し,術前に胃癌の壁内転移の診断が困難であった1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.711