肝外傷後の門脈血栓症に対してエドキサバンが有効であった1例

患者は69歳,女性。自動車を運転中に電柱に激突し,胸腹部を強打した。直後より前胸部痛,腹痛を認め,当院へ救急搬送された。来院時の腹部造影CTで,肝損傷(Grade Ib)と造影剤の血管外漏出像を認めた。CT中に血圧が低下し,transient responderとなったため,経カテーテル動脈塞栓術による止血後に,入院した。第14病日に施行したCTで門脈内に血栓を認め,第21病日のCTでは血栓が拡大していたため,抗凝固療法としてエドキサバンの内服を開始した。第31病日(内服開始後10日目)のCTで血栓の縮小を認め,第77病日(内服開始後56日目)のCTで血栓の消失を確認したため,内服を終了した。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; pp. 315 - 318
Main Authors 鈴木, 洋, 横沢, 友樹, 植木, 俊輔, 星田, 徹, 小野寺, 優
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.41.5_315

Cover

More Information
Summary:患者は69歳,女性。自動車を運転中に電柱に激突し,胸腹部を強打した。直後より前胸部痛,腹痛を認め,当院へ救急搬送された。来院時の腹部造影CTで,肝損傷(Grade Ib)と造影剤の血管外漏出像を認めた。CT中に血圧が低下し,transient responderとなったため,経カテーテル動脈塞栓術による止血後に,入院した。第14病日に施行したCTで門脈内に血栓を認め,第21病日のCTでは血栓が拡大していたため,抗凝固療法としてエドキサバンの内服を開始した。第31病日(内服開始後10日目)のCTで血栓の縮小を認め,第77病日(内服開始後56日目)のCTで血栓の消失を確認したため,内服を終了した。以後,門脈血栓症の再発は認めていない。肝外傷後の門脈血栓症の報告は少なく,また,門脈血栓症の治療法も確立されていないが,抗凝固療法としてエドキサバンの内服は有効と考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.41.5_315