巨大腹部大動脈瘤のためにNutcracker症候群を生じた1例

症例は77歳男性,健診異常のため精査目的に近医より当院を紹介された.尿検査で尿蛋白陽性,尿潜血陽性であり,その精査のために腎臓内科を受診したが,約10 cm大の腹部大動脈瘤を認めたため当科を紹介され,人工血管置換術を行った.術前CTでは腹部大動脈瘤と上腸間膜動脈によって左腎静脈が圧迫される所見が認められ,また左腎静脈の内圧上昇を示す所見として,左精索静脈瘤を認めた.全身麻酔下に腹部正中開腹アプローチで人工血管置換術を行い,瘤を切除することで扁平化した左腎静脈は圧迫が解除された.術後CTでも左腎静脈の狭窄は多少残存するものの左精索静脈瘤は消失し,尿潜血も改善傾向にあった.今回われわれは巨大腹部大...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 5 - 8
Main Authors 三富, 樹郷, 倉岡, 節夫, 篠永, 真弓, 鈴木, 脩平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 21.01.2020
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.19-00059

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Summary:症例は77歳男性,健診異常のため精査目的に近医より当院を紹介された.尿検査で尿蛋白陽性,尿潜血陽性であり,その精査のために腎臓内科を受診したが,約10 cm大の腹部大動脈瘤を認めたため当科を紹介され,人工血管置換術を行った.術前CTでは腹部大動脈瘤と上腸間膜動脈によって左腎静脈が圧迫される所見が認められ,また左腎静脈の内圧上昇を示す所見として,左精索静脈瘤を認めた.全身麻酔下に腹部正中開腹アプローチで人工血管置換術を行い,瘤を切除することで扁平化した左腎静脈は圧迫が解除された.術後CTでも左腎静脈の狭窄は多少残存するものの左精索静脈瘤は消失し,尿潜血も改善傾向にあった.今回われわれは巨大腹部大動脈瘤のためにNutcracker症候群を生じた1例を経験した.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19-00059